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□口説き文句(跡蔵)
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「白石、痩せたんじゃね?」
触る手のひらに、白石は少し身をよじった。
「誰のせいや」
「俺以外のせいだったら、怒るぜ」
こんな恋めいた会話を、白石は気のせいだと思いたかった。
跡部という男に全身愛されて、背徳的な甘い営み。
「……」
跡部は、白石の表情に隠された刹那の情動を見逃してはくれない。
「今すげェ、悦さそうな貌してた」
「煩いわ」
少年特有の、不埒な純情。
白い、肢体のライン。
甘い爪痕。
この男の爪でしか付けられない、恋の爪痕だ。