出張!赤兎戦闘記

□ラブラブでごめんなさい
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「出水」

「お、おう」


任務終わりの遠征艇の廊下

そこはひどく静かで、ななしとその隣を歩く出水の足音だけが響いていた

ふと、立ち止まるななしに、出水も合わせて立ち止まり、彼女の言葉に耳を傾ける



「言いたいことがあるんだけど」

「ん?」


「…」


「…」



サラッと出てこない!
あああ、あの言葉が!

普段使う機会なんてないから
この肝心な時に…
なんで暗殺とかはサラッとできんのにこういうのだけできない!
勇気を出してななし!
言えたらバナナ、バナナ!



「…」



ペシッペシッ



「…」


頬たたいてっけどどうしたんだ
気合入れてんのか?


あ、まさか告白…!
言いたいことってそれ?

今日サポートありがとう好きだよみたいな?


いやいやいやそれはないだろ
いくら何でも美味しすぎるシチュエーション
ここは男の俺から仕切り直すしか




「どしたの?」



「今日は、あの、その、





…ごめんなさい



人型近界民に吹っ飛ばされた時、
任務や連携のことなんて忘れた自分がいた


殺すことで頭がいっぱいの真っ暗闇から、自分に手を差し伸べるように優しい声が聞こえた


出水や太刀川さんのおかげ
その助けがなかったら、
いつも通り本能にまかせて暴走していたかもしれない


迷わず自分の身を削り相手の息の根を止め、
それを達成することで快楽を感じる

私の育ってきた夜兎の戦場ではそれが正義だった、
だけどここは違う

自分の体を削るのではなく、与えられた技術を駆使し町の人を、自分自身を守る


ここの正義を、ルールを受け入れる、
それができなきゃここで戦う資格はないね」


「暴走?とっくに暴走列車だろお前は」

「そんなのビッグサン○ーマウ○テン」

「あれはファストパス取ったほうがいい」

「それは今度行った時ね」

「さりげ約束できちゃった」

「したつもりはなかった」



「あぁ、もうとにかく!



ななしがここに来てから、
その強さの訳を知りたくて模擬戦のビデオ研究したり、情報聞いたりした」



《夜兎族、宇宙最強最悪の戦闘部族
その強さは星一つ滅ぼしてしまうほど
1人を相手取るにも軍隊1個じゃたりないと言われる

白い肌に咲く紅い花は返り血
傘1本で多くの戦場を駆け回ってきた》





「ななしのこと、俺はまだちょっとしか分かってねーよ

でも言えることはある

ボーダーには一丁前に復讐心を持って入ってきた奴や、興味半分で入ってきた奴がいる
それぞれ戦う理由はバラバラかもしれない

けど、こうして同じトリガー握って、同じ戦場に立って、
最終的には町の人守ってんだよ


だから、ななしがどんな戦い方をしようが、
なんのために戦ってようが、俺たちには関係ねーよ


ただ、自分の本能を、思想をねじ曲げてまで俺たちのやり方に合わせてくれる

その為に一生懸命考えてくれるななしが素直に、俺は好きだ」


「え?」


「あ、その、
ななしっの、戦法が、俺は好きなんだよ!」


「あ、そうなの?」


「そう!だからとにかく、ななしはありのままでいればいいんだよ!」


「アナと○の女王?
またディズニーネタ?
まあ、わかったよ」


「…おう」


「出水、ありがとう

私も出水の戦法、結構好きだよ」


「おおお、おう」


「じゃ、風間さん探しに行ってくる
今日の報告、まだなんだ
あとでねー」


「…」


「お前見かけによらず不器用だな」

「…盗み聞きはヤラしいっす太刀川さん」








2人の仲は進んでいないようで進んでます
出水の気持ちはスペー○マウ○テン並みですがななしはイッツ・ア・ス○ールワー○ド並み

今回は出水がはじめの一歩から更にもう一歩踏み出したくらいだと思っておいてください



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