好きな人。

□Episode 20
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「名無し」

「え、彩さん?」


放課後になってまーちゅんとわかれて部室に行ったら彩さんしかおらんかった


「ちょっとええ?」

「は、はい」


なんなんやろ、改まって
嫌な気しかないんやけど…


「さっき、こんなんがあたしのロッカーの中にあってん。」


彩さんが出したのは手紙


「ななし名無しと別れないと大事なものを傷つける…?」

「誰が書いたんかわからへんのんやけど、、」


私と別れんと彩さんの大事なものがなくなってしまうん?
彩さんに迷惑はかけたない…


「あたしは名無しと別れる気なんかあらへん」

「で、でも彩さんの大事なものを傷つけてしまうんやろ…?
別れた方がいいやないですか」

「あたしにとって大事なものは名無しだけや
名無しより大事なものなんかあらへん」


あたしが守るからって言って抱きしめてくれた彩さん


「なんかあったらすぐあたしに言いや?」

「はい」

「絶対守るからな」


次の日から始まった、わからへん相手との戦い


「名無し、大丈夫?」

「ちょっと濡れただけやから大丈夫」

「彩さんに言った方がええんやない?」

「大丈夫やから
私の不注意で濡れてん」


トイレに行ったら上から水が降ってきた
そこまでびしょ濡れやないし、少ししたら乾くから大丈夫やと思っとったのに、全部話したまーちゅんは心配して先生に言おうか?って言ってくれた


「名無しやっぱり…」

「大丈夫大丈夫
それに彩さんに心配かけたくないねん」

「…茉由も守るからな」

「ありがとう」


まーちゅんが泣きそうになるから頭を撫でたら抱きつかれた


「ななし、どしたん?」

「あ、木下
今日も遅刻やんか」

「なんでななし濡れとんの?」

「いやー…」

「名無し、トイレ入っとったら水が降ってきたんやって」


まーちゅんが代わりに言ってくれた


「ななし、犯人誰や」

「ちょ、大丈夫やから!」

「大丈夫やないやろ、あほ」


犯人を見つけて殴るねんって殴る準備をしとる木下を止めた


「百花は名無しのこと好きやなぁ笑」

「木下とは気が合うだけやから」

「せやせや
身体は好みやけど、性格がなぁ笑」

「さいてー」


木下の肩を思いっきし殴った


「少しは力加減くらいせぇや」

「ふんっ!」

「ほんま仲ええなぁ笑」


私と木下を見て笑うまーちゅん。
こーゆーの見たら濡れたことなんかどーでもよくなるわ


「名無し!!」

「岸野先輩!?」

「ちょっと」

「ど、どうしたんですか!?」


岸野先輩が教室に来て私の腕を掴んで部室に行った


「なにこれ…」


バスケ部の部室の扉にスプレーみたいなので落書きがしてあった。


「わからへん。
けど、菜々ちゃんと彩とけいっちは中におるから、入って」

「はい」


部室の中も荒らされとって、入ってすぐのところに菜々さんと彩さんと上西先輩が向かい合うように座っとった


「岸野ありがとな」

「彩さん」

「名無し、多分やけど、手紙の人がやったんやと思う」

「はい…」

「え、てか名無し濡れとるやんか!!」

「あ、ちょっと…」


菜々さんが濡れとるのに気づいてハンカチを貸してくれた


「名無し、それって…」

「あ、私の不注意なんで」

「…そっか」

「とりあえず、ここまでされたんやから、先生には言わな」

「せやな
先生に言ったらなんとかしてくれるかも知れへんし」


先生に言ってくると上西先輩と岸野先輩が出てって菜々さんはトイレに行った


「あたし、そんな頼りない?」

「え?」

「それ、やられたんやろ
あたしには言えへんの?」

「そーゆーわけじゃ」

「あの、木下ってやつになら言えるん?」


木下?
なんで木下が出てくるんやろ
てか、彩さん木下のこと知っとるん?


「彩さんに心配かけたくないんです」

「あたしが守るって言ったやんか」

「こんな小さいことで彩さんに心配かけたくないんです!
彩さんは私だけのやないんやから」


彩さんはモテモテやし、こんな私と付き合っとることをほかの女の子が嫌がっとるの知らへんやろ…


「あたしは名無しのやで?
名無しだけのあたしやから、そーゆーことされたら1番に教えてや」

「…彩さん。」

「どした?」

「クラスの人になんで彩さんと付き合っとんのって言われたんです。
彩さんが私と付き合うことで嫌な人もおるんです。」

「名無し、話してくれてありがとう
多分、犯人はその人たちや」

「え?」

「ごめんな、考えさせて
あたしは名無しが好きで、名無しもあたしが好きやろ?
ならそれでええやん!
あたしらの間に他の人は関係あらへんやろ」


ぎゅぅっと抱きしめてくれた彩さんの背中に手を回した。
私が遠慮することなんかなにもあらへんのや…

もっと彩さんを頼りにしよ


「彩さん、木下のこと知っとるんですか?」

「あー…昨日のお昼行ったやん?
その時に名無しが男と話しとるから、気になって聞いててん」


男?
もしかして彩さん、木下のこと男やと勘違いしとる?


「あ、あの、木下の名前…」

「ん?」

「木下百花って言います。
女の子やけど、短髪で変な髪色やから、男に見えるけど、女の子です」

「え、せやったん?」

「はい」

「なんやそれ、名無しが男と話しとるからめっちゃムカついたのに女やったんか」

「ふふ、ヤキモチですか?」

「うっさいわ
しゃーないやろ、好きなんやから」

「嬉しいです」


やから昨日なんかおかしかったんかぁ…
なら早く言っとけばよかったなぁ。


「とりあえず、名無しのクラスメイトんとこ行くか」

「はい」
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