好きな人。

□Episode 22
1ページ/1ページ

「木下さん、ちょっとええ?」

「おう」

「え、なんか木下モテてへん?」

「まぁな、ななしにはわからへん魅力があるんやろ笑」

「はいはい笑」


休憩時間になると必ず呼び出しがかかかる木下


「名無し、知らへんの?」

「なにを?」

「百花、学園祭の時にやったのが好評すぎてファンクラブも出来たんで」

「え、木下に?」


確かにあの執事はかっこええと思ったけど、ファンクラブできたん!?
彩さん並やんか!


「もぉ百花もみんなのものになってしまうんかもなぁ」

「木下に恋人ができるかもってことやん!!
めでたい!!」

「てことは茉由だけ独り身…」

「えー?
美優紀ちゃんおるやん?」

「やからみるきーとはまだ何もないねん」


ふーん、まだ、ね笑
まーちゅんの恋路も気になるけど、木下も気になるなぁ


「名無し、ちょっと来て!」

「え、菜々さん!?」

「ええからええから」


いきなり来た菜々さんに連れられて体育館の裏に行った


「え、彩さん?」

「彩の元カノやねん」

「岸野先輩や」

「お、名無し来たんか」

「はい、菜々さんに連れられて」


岸野先輩の前に通してもらって彩さんと女の人の間の草にかくれた


「私、彩のことまだ好きやねん」

「やけどあたしは」

「1年と付き合っとるんやろ?
そんなこと知ってんで」

「やったら」

「でも、彩のこと好きやねん
おこちゃまより相手になると思うで」

「は?何言ってん」

「こーゆーこと」


そー言って女の人は彩さんに口付けをした


「名無し、今のは事故やからな
彩はなにもしてへんからな」

「わかってます」


彩さんはキスされた方やからどうも出来ひんってわかってんねん

やけど、こうモヤモヤすんねん


「なにすんねん」

「久しぶりのキスはどうやった?」

「ありえへん」

「どーせならもっと先のこともする?」


そう言いながら彩さんの首に腕を回した彼女


「あんたとなんかせんわ」

「ふふ、あんなおこちゃまやと満足できてへんのんやろ?」

「あんたに関係ないやろ」

「まぁまぁ」

「やめ、ろっ」

「ふふ、かわええなぁ」


片腕をおろして彩さんのブラウスのボタンを外す女の人


「さすがに、やりすぎやろ」

「あ、岸野先輩!」


バサッと出ていった岸野先輩


「き、岸野!」

「里香ちゃんやん」

「あんたら体育館裏でなにしてん」

「こいつが勝手に!」


岸野先輩と彩さんと彩さんから離れた女の人が3人で話し合いしとるけど、話なんか入ってこんくらいパニックになって涙が出てきた


「名無し、大丈夫?」

「菜々さん…」

「ほら」

「ありがとうございます…」


菜々さんがハンカチを出してくれて涙を拭いた


「名無しが見てんで」

「は、名無しおんの?」

「名無し、おいで」

「いや、や…」


岸野先輩に腕を掴まれて立たされた


「名無し、さっきのちゃうねん!」

「ふふ、あんたより私のがお似合いやろ?」

「彩さんの元カノ…?」

「名無し、行こ」


彩さんは手を握って帰ろうとするけど、その手を振り払った


「名無し?」

「いやや」

「名無し、2人で話そうや」

「話すことなんかあらへんもん…」

「ほら、この子もそー言っとんやから私と楽しもーや」

「やから、あたしとあんたは終わっとんの
もぉあたしに構わんといて」

「それが昔の恋人に言うセリフ?」

「もぉ終わっとるんやからええやろ!」


彩さんと女の人が言い合いしとる間に岸野先輩に肩を抱かれて部室に行った


「名無し、彩のこと責めんといてあげて」

「はい…」

「彩と話さへん?」


岸野先輩に聞かれたけど、今は話す気にもならへんし、会いたくもないねん


「里香ちゃん、名無しは私に任せて
彩のところ行ったげて」

「うん」


岸野先輩は部室を出てって菜々さんに抱きしめられた


「名無し、私が連れてったからやんな
ごめんな」

「菜々さんの、せいやないっ…」

「名無しごめんな」


肩が冷たくなって菜々さんの顔を見ると菜々さんが泣いとった


「なんで泣くんですか」

「やって、私のせいやもん」

「菜々さんのせいやないですから、泣かんといてください」


涙を流す菜々さんの背中を擦りながらこれから彩さんとどーするか考えた


continue...
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ