好きな人。2

□Episode 7
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名無しが髪を切った。
理由を聞いても答えてくれへんから分からへんけど
名無しが髪を切って帰ってきた


「彩、晩ご飯何食べたい?」


キッチンに立って後ろ姿を見せる小さい天使はシャギーを入れたミディアムの髪を揺らしながら聞いてきた


「彩、聞いとる?」

「うん」

「なら答えてや」

「なんでもえんとちゃう?」

「もぉー…」


長いのも好きやけど、ミディアムもええなぁ

もとから少し茶色やったからカラーはしてへんと思うけど


「あ、せや」

「ん?」

「これ、彩に」

「なにこれ」

「知らへん
けど、岸野先輩からやから彩やない?」

「おー開けてみるわ」


なにか思い出したように玄関に行った名無しは小さい箱を持って戻ってきた

岸野からとか初めてやん。


「名無し、朱里から手紙入ってんで」

「私に?」

「うん」

「朱里から手紙とか初めてやぁ!!」


なにか作り出した名無しに朱里からの手紙を教えると笑顔で取りに来た


「ご飯食べたら見よーっと」

「なににするん?」

「パスタにしよーかなって
パスタなら彩も食べれるやろ?」

「まぁ、だいたいは食べれるけど…」

「待っといてなぁ」


それからそんなに時間がかからずにパスタが出来た


「彩、最近お仕事忙しいん?」

「そこまでやけど、なんで?」

「いや、なんか顔が疲れとる」

「そーか?
あんま分からへんけど…」


そんなに疲れた感じの顔しとるか?
お風呂でも見るし、朝も見るけど自分じゃ全然わからへんなぁ


「あ、もうすぐ給料日やから光熱費払っとくな?」

「別にええのに」

「ええの
彩だけに頼ったらあかんもん」

「あたしが勝手に借りた家やし」

「もぉ!ええの!
ちゃんとそーゆーことはしとかな」

「ほんまあんたはブレへんなぁ笑
こーゆーときは素直に頼っとけばええねん笑」


名無しはバイト帰りに危ないことがあった時にやめることをすすめたら『彩だけに頼るわけには行かへんねん!』って言うて全然聞いてくれへんかったなぁ

あたしとしては別にいいんやけどな


「彩、食べたら一緒にお風呂入らへん?」

「ええけど、なんかあったん?」

「なんもあらへんよ」

「そっか」


なんや、今日の名無しは珍しいやん


「名無し、おいで」

「ん」


お湯に浸かって名無しを呼ぶと素直に足の間に入ってくれた


「髪、似合ってんな」

「ほんま?」

「うん
かわいいで」

「へへ、よかった」

「なんで切ったん?」

「…慣れたら全然せーへんくなるってテレビでやっててん。
やから変えてみた」


??
なんの話してんねん??


「ば、場所とか変えたらええって…」

「なにが?」

「や、から…」

「ん?」


全くこっちを向かへん名無しの耳を見ると真っ赤になっとった


「…えっち。
最近してへんから、飽きたんかなって…」

「ぶっ…」

「な、なんやねんっ!」

「名無し、可愛いなぁ」

「かわいない!」

「最近名無しのバイトがあるし、疲れとるかもしれへんからしてへんだけよ
飽きるわけないやん」

「やって、朱里に相談しても飽きられたんとちゃう?って言われてん…」

「あたしが名無しに飽きるわけないやん
でも、名無しも考えてくれとるんやな」

「わ、私だってしたいねん…」

「ん、今からしよっか」

「うん…」


2人でお風呂から出て、軽く拭いてなにも着ずにベッドに直行した


「今夜は寝かせへんよ」

「ん、ええよ」


切ったばかりの名無しの髪の毛に手を通してキスをすれば、長い長い夜の始まり。







岸野からの荷物は今度の大学の学園祭の案内と出し物のチケットやった

その日は前々から休みをとっとるし、名無しと一緒に行く予定


continue...
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