好きな人。2

□Episode 9
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「名無しちゃん」

「はい…?」

「ふふ、やっぱり名無しちゃんや」

「あの、どっかでお会いしましたか?」


バイトの帰りにコンビニで買い物を済ませて家の近くに来た時に前から歩いてきた女の人に話しかけられた。

訛っとるから関西の人なんやろーか…


「もぉ忘れちゃったん?」

「え?」

「これなら思い出せる?」

「んっ、」


暗くて顔が見えへんのんやけど、顔を近づけられた感じがして1歩さがろうとしたんやけど、間に合わへんくてキスされた


『名無しちゃん』


「ふふ、思い出してくれた?」

「…浅井さん。」

「山本さん、歌手になったんやろ?」

「はい」

「なら忙しいなぁ」

「話がないなら帰ります」

「相変わらず素っ気ないなぁ」


もしこのまま家に入ったらまたくるかもしれへんよな…
そしたら彩に迷惑かかるし。。


「帰ってください」

「いやって言うたら?」

「ストーカーで警察に電話します」

「ほんまひどいなぁ」


そー言いながら笑う浅井さん

ひどいのはあんたやんか…


「ほんならまた来るな」

「もぉ来やんといてください」

「ほんならなぁ」

「え…」


そーやって浅井さんが入っていったのは同じマンション…

今まで会ってへんのが不思議なんやけど。
てか、彩は知ってるんやろーか


「ただいま」

「あ、おかえり
ご飯出来とるけど、お風呂入る?」

「出来とんなら先でええよ」

「わかった」


夕飯を作り終えた時にちょうど彩が帰ってきた


「明日、外食せーへん?」

「ええけど、なんかあんの?」

「プロデューサーさんにレストランの券もらってん」

「え、それって私でええの?」

「ええって!
名無しのことしってるんやけどな、その子と行きーってくれてん」

「なら明日はデートや!」


久しぶりの外食やし、そのままどっかにデートに行きたいなぁ


「あ、そーいえば」

「ん?」

「浅井さんって覚えとる?」

「あーあの浅井?」

「せやで
その人、このマンションに住んでん」

「は、まじで?」

「まじまじ
今日入ってくの見えてん」

「よく今まで会わへんかったなぁ」


キスのことは…言わへんほうがええよな


「なんかされたらすぐ言うんやで?」

「わかっとるって」


なるべく会わへんようせなあかんなぁ


明日は久しぶりのデートやから急いで帰って用意せな!


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