恋を

□あつみなちゃん
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「はぁ…」


たかみなとの思い出の海に行き堤防にのぼって目の前に広がる大きな海と水平線に手をかざしてみる。

ジリジリと突き刺す日差し


「敦子、あのさ…」


たかみなが言いたいことはわかってる

せめてこの島を出るまでは恋人の2人でいよーよ



「んっ…敦子?」

「まだ、なにも言わないで」

「うん…」


たかみなは今日、ここを出て行く
医者になりたいからって遠く離れた大学に行くことになった
6年間…


「たかみな、好き?」

「もちろん」


もし6年後、お互いに相手がいなくてまだ好きならまた付き合おう

そーゆー約束を残して出て行くたかみな。

こんな大好きなたかみな以上に好きな人なんてできないよ


「もぉ行かなきゃ…」


どのくらいここにいたんだろ…
けど、もぉ夕日が沈んでいってる


「っ…」

泣いたらたかみなに迷惑がかかるのはわかってる。
けど、そんな考えをもっても涙は溢れてきて…


「敦子、絶対6年後戻ってくるから
敦子のところに戻ってくるから、ね?」


背中をさすりながらなだめてくれるたかみな


「うん…」


たかみなに抱きついたら背中に回ってきたたかみなの腕


「待ってる…」


私たちに遠距離恋愛はできないと思う。
なかなか会えなくなるし、そこまで大人じゃない。
たかみなに負担のかからないように選んだ道だから…


「敦子、見送りしてくれる?」

「あたりまえでしょ!」


堤防から降りてたかみなと手を繋いで船乗り場まで歩いた

つくまで2人とも無言だったけど、なにか話したらまた涙が出てくるからたかみなが気をつかってくれたんだと思う


「敦子、6年間待っててな?」

「向こうで寂しくなっても知らないんだから
この島にいたらよかったってなっても…」

「ごめんな。」

また溢れてきた涙をぬぐってくれたたかみな

「たかみな、好きだよ」

「うん。あたしも」


最後に軽いキスをかわしてたかみなはフェリーに乗った


「敦子、元気でねー!!」

「た、たかみなこそ偏食ばっかりして倒れないよーにね!!」


出航の合図と共に動き出したフェリー

たかみなを乗せて遠くに行く


「うぅっ…たか、みなぁ…」


フェリーが見えなくなって溢れてきた涙


「敦子、えらいね…
ちゃんとみなみの前では我慢できたね…」


みなみのお姉ちゃんの麻里子に抱きしめられた

どのくらい泣いたかわからない
けど、あたりはもぉ既に真っ暗で空には満月

たかみな、私6年間頑張るよ
6年後、たかみなが帰ってくるのを信じて待ってるね


-end-

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