好きな人。

□Episode 6
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「なんであんたがさや姉と仲良くなってんの?」

「さや姉の事やから、あんたがかわいそうやからやろ?」

「バスケ部のマネージャーにもなったし、あんたなんなん」


放課後、菜々さんのところに行こうとしたら2年生の先輩に捕まって空き教室に連れていかれた


「あの、行ってもいいですか?」

「は?なにこの子」

「超生意気なんやけど」

「うっざ」

「私、別に山本彩の事好きやとも思ってへんし、仲良くしとるとも思ってへんから」


人の気も知らへんくせに


「この1年、どーする?」

「めっちゃムカつくんやけど」

「やっちゃえば?」


1人が手を振り上げた


「1年のくせに生意気なんや!」


ぱんっとかわいた音と頬の痛み
それが合図のようにほかの2人にも蹴られたり殴られたりした


「ごほっ…はぁ、はぁ」

「なぁ、この子死んじゃうんじゃないん?」

「このくらいで死なへんやろ」


ボコッとお腹を蹴られて息が苦しくなって涙が出てきた


「あはは、泣いとるやん笑」

「やっと懲りてきたんやない?笑」


この人たちの前で泣いたらあかんってわかっとるのに涙が止まらへん


「顔ぐちゃぐちゃやん笑」

「ふふ、ざまぁ笑」


3人の笑い声が頭に響く


「なぁ、なにしてんの?」

「なにってこの1年が…さ、さや姉っ!」

「やまもと、さやか…」

「名無し、大丈夫か?」


山本彩が入ってきて、体を起こしてくれた


「あんたら3人でなんで1年イジメてんの?」

「こ、この1年が悪いねん」

「3対1とかずるない?
相手1年やぞ?」

「せ、せやけど…」

「次こんな事したらタダじゃすまんで!」

「は、はいっ…」


山本彩が睨みを効かせると3人とも走って逃げてった


「名無し、生きとるか?」

「なんで…」

「ん?」

「なんで来てくれたんですか…」


菜々さんには放課後って話したけど山本彩には言ってへんやんか


「あー山田が名無しが来んって言うとって、ただ気になって探しとっただけや」

「なんで私なんかに…」

「まぁ、あたしのせいやんな。」


ごめんって言いながら抱きしめてきた山本彩に私は涙がぼろぼろ出てきた


「怖かったな、もう大丈夫やで」


わんわん泣き出した私の背中をポンポンして落ち着かせてくれる山本彩


「やまもっ…」

「やから、彩やろ?」

「ん、さやか」

「名無し、あたしがあんたのヒーローになるから、なんかあったらすぐあたし呼び?」

「呼んだら、来てくれるですか??」

「当たり前や!
飛んで行くから大声で叫ぶんやで?」

「はい」

「ん、いい子」


山本彩はそう言いながら頭をポンポンしてきた


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