好きな人。

□Episode 8
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「名無し、体育祭の迷信って知っとる?」

「体育館の迷信?」


高校に入って初めての体育祭
特に部活でも何も無いらしく、まーちゅんと一緒にクラスのテントで涼んどった


「なんか、閉会式で告白したら両想いになれるらしいで」

「え、なにそのウソっぽいの」

「まぁ、迷信やしなぁ」

「告白する人なんかおんの?」

「わからへん笑」

「なにそれ笑」


閉会式で告白とか恥ずかしすぎてする人なんかおらんやろ笑


「名無し、ジャージを好きな人と交換すると両想いになれるらしいで」


まーちゅんが耳打ちで伝えてきた


「それも迷信?」

「いや、ホンマらしいで」

「マジで?」

「先輩らが話しとったからマジやって
菜々さんにさり気なく交換してもらったら?」


両想いかぁ…


「先輩が話しとったなら菜々さんも知っとるやろ…」

「じゃぁ諦めるん?」

「んー…」

「名無しー!!」


ジャージ交換のことを考えとったら彩さんに呼ばれた


「彩さん、どしたんですか?」

「ちょっとジャージ貸してくれん?」

「え?」

「あたし、ジャージ忘れたんやけど、次の種目ジャージがいるねん」

「あ、わかりました!」

「終わったらすぐ返しに来るから!」


ジャージを脱いで渡したら彩さんは走っていった


「なぁ名無し」

「なに??」


まーちゅんの方を見るとハンパなくニヤニヤされた


「え、なに、キモいんやけど」

「名無しさ、彩さんのこと好きやろ?」

「は?」


私が彩さんを?
ないない


「めっっっっっちゃ愛しそうな顔しとったでー?」

「なわけあるか
私が好きなのは菜々さんやし」

「別に2人を好きになってもいいんやない?」

「彩さんのことはこれっぽっちも好きやないから!」


彩さんのことが好き?
そりゃドキドキしたりする時もあるけど、好きやって思ったことないし


「彩さん、また女の子に囲まれとるなぁ」


チラッ彩さんの方を見ると4人の女の子に囲まれて笑っとった


「ほら、その顔。」

「え?」

「見てみ?」


まーちゅんがかがみを出して見せてくれた


「そんな顔しとって好きやないって言えるん?」


鏡にうつった私の顔は切なそうな苦しそうな顔をしとった


「好きやない」


彩さんを見ると胸の奥が少し締め付けられた感じがした


「私は、菜々さんが好きや」

「名無し、茉由は味方やから。
なんでも相談のるからな」

「ん…」


菜々さんが女の子に囲まれて笑っとっても可愛いなとかしか思わへんけど、彩さんは胸が苦しくなる

この感情はなんなん…?


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