恋を
□声恋
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「抱きしめたいけど~キスをしてしまいそ~♪」
学校の屋上から聞こえてくるギター音と歌声
話したこともなければ顔も見たことがない
放課後、屋上手前のおどり場の特等席に座って聞くのが日課
「もぉ二度と愛せないだろ~♪」
ピタリと歌声が止まれば急いでおどり場から逃げる
「あ、菜々やん
まだ残っとったん?」
教室にカバンを取りに行くと部活に行っとるはずの愛菜がおった
「うん、ちょっとね…」
「もうすぐ暗くなるから早く帰りな」
愛菜は誰にでも優しくて勉強も出来てスポーツもできる
やから当然モテる
「じゃぁ、愛菜また明日ねー」
愛菜とばいばいして急いで学校を出た
「あ、あの」
後ろから声をかけられて振り向くと
「これ、落としましたよ」
ショートカットの女の子が私の生徒手帳を持っとった
「あ、ありがとうございます…」
「山田菜々…」
ん?
「そーですけど…」
「あんた可愛いな!!」
その子から生徒手帳を受け取るといきなり言われた
「そ、そんなっ//」
「顔真っ赤やん笑」
そりゃいきなり言われたら赤くなるやろ…
「あたし、3-Aの山本彩
よろしくね、山田菜々ちゃん♪」
山本さんはそのまま走って帰って行った
「やまもと、さやか…」
山本さんの声はいつも聞いとる歌声に似とった
「3-Aってことは隣なんや…」
「誰が隣なのー?」
「!?
みるきー!?」
「菜々ちゃんにも春が来たんかー!!」
隣に来たみるきーはニヤニヤしとったけど、気にせず山本さんのことを考えよった
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