しちゃいました

□他のどの子より
1ページ/1ページ

「彩さんなんてもぉ知らへん!!」


あたしのほっぺを叩いて教室を出ていった名無し


「あーぁ、名無しのこと泣かせた」


全部見とった岸野はなにか言いたげにこっちに来た


「別にあたしは…」

「名無しが彩のこと憧れとんの知っとるやろ」

「まぁ」

「なんであんなことすんねん」


かわいそうやろと言いたげな目で見てくる岸野に少し反省


「名無しはあんたのこと好きやねんで?
いくらなんでもあれはないわ」


そんなこと、自分でもわかっとるわ。
ただあたしはこの学校でも1、2を争う遊び人
言い寄ってくるのは相手の方やけど、特別を作って裏切られたくないあたしはその相手に乗ってしまう


「名無しは純粋なんやから、汚したらあかんで」

「わかっとるわ。」


1つ下の名無しはまだ誰とも付き合ったことない子でこんなあたしのことをちゃんとした人間やと思ってくれとる子
遊び人のあたしをまじめに好きになってくれた子


「名無し探しに行かへんの?」

「…あたしが行ってもえーんかな?」

「はあぁぁ…」


盛大につかれたため息。
けど、あたしが行ったらまた名無しを傷つけるかもしれへん


「あんたが行かんで誰が行くねん
第一名無しがそれを望んどんやろ」

「ん、行ってくるわ」

「はいはい」


岸野のやれやれ感ハンパない見送りを背中に名無しを探した


「あ、ちっちー!!」


…今は会いたくない人。
あたしと1、2を争う遊び人の優子さん。
名無しのことを気に入っとる先輩。


「優子さん、こんにちわ」

「ちっちが探してるの、当ててあげようか?」


ニヤニヤっと悪ガキの顔をする優子さんに少しいらっとした


「…どこで見ましたか」

「さぁ?笑」

「優子さんでも名無しはダメです」

「でも、どーせ遊び相手でしょ?
ならそこまで縛りつけなくてよくない?」

「っ…」

「あたしは名無しのこと好きだよ?
ちっちより好きな自信あるもん」

「あたしは…」

「ほら、反論できない。
中途半端に名無しに関わるのやめてよ」

「でもっ…」

「優子さん?…と彩さん」

「名無し…」


後ろから声をかけられて振り返ると探しとった名無しがおった


「名無し、来たらダメって言ったじゃん」

「やって、優子さん遅いから…」

「ごめんね、帰ろ?」


優子さんに肩を抱かれながら去ろうとする名無しの名前を叫んだ


「名無し!!」

「っ…」


ビクッとなったけど、振り向く気はないらしい
けど、止まってはくれた


「そのままでいいからあたしの話聞いてや」

「名無し、大丈夫?」

「はい…」

「あたし、名無しのこと好きや!
初めはなんやねん、この後輩くらいとしか思ってへんかってん。
やのに、どんどん好きになってく自分がおって、、
名無しのこと好きになっとるの気づきたくなかってん、
遊び人のあたしが本気になるのが怖かってん
本気で好きになって裏切られたらもぉ立ち直れんくらい名無しのこと好きになっててん。
純粋な名無しにとってあたしが汚すかもしれへんことが怖かってん。
やけど、誰にも渡したくないねん。
あたしは誰よりも名無しのこと好きやねん!!」

「っ、彩さんっ!!」


優子さんの腕をスルッと抜けて飛びついてきた名無しを精一杯受け止めた


「名無し、ごめん。」

「んーん、彩さんやから大丈夫。」

「はー。やっとくっついた」

「え?」

「あたし、名無しとちっちが両想いなの知ってたよ?
いつまで経ってもくっつこうとしないから少し手伝ったの
因みに、名無しはあたしのいとこだから」


騙してごめんねって笑う優子さん


「名無しが優子さんのいとこ?」

「せやで?
優子さんとは小さい時から一緒やねん」

「はあぁぁぁー。。」


衝撃的すぎて膝から崩れた


「さ、彩さん?」

「…良かった。
あたし優子さんがライバルやったら勝てへんもん…」

「彩さんが1番やで?
私は彩さんが好きやで?」

「名無し、小さい時はあたしにべったりだったのに、いつの間にか大きくなってる…」


あたしは他のどの子に好きって言われても流してた
けど、この子の好きって言葉は胸に綺麗に広がってく。
遊びやない、綺麗な恋愛は始まったばっかりや。


-END-

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ