しちゃいました

□先輩がすき
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「彩さーん!!」

「ちょ、危ないやろ!」

「どこかお出かけですか??」

「まぁ、ちょっとな」


下駄箱で靴を履き替えとると見慣れた大好きな背中があったから遠慮なしに飛びつけばビックリしながらもバランスを保ってくれた

いつもより気合の入った髪でなんとなか出かけらんかなぁって思っとると正解やった


「名無しは帰るん?」

「はい!あ、でもアニメイト行ってからです!」

「アニメイトええなぁ
お土産よろしく笑」

「え、自分で行ってくださいよー」

「ええやんええやん」

「なんか、ええのがあったらですよ?」

「おーさんきゅ!」

「もー、みだれるやないですか」


彩さんにくしゃっとされた髪の毛を手ぐしで直しながら反抗すると楽しそうに笑うんや


「彩ちゃん、はやくー!」

「おー
じゃ、名無しまた連絡するわ」

「はい」

「お土産よろしくな」


可愛い子に呼ばれた彩さんはそれだけ言ってその子と肩を並べて歩いた

全学年でモテとる渡辺美優紀さん。
彩さんと同い年で彩さんの恋人らしい
可愛くて勉強できてスポーツもできる
私が適うはずのない人。


「これ、彩さん持ってるんかな…」


アニメイトで見つけたつなぴグッズ

全部持ってそうやけど…
やっぱ私が買うより彩さんが来てから買うのがええよな。うん。


「いや、でもお土産…」


連絡して聞きたいけど、今絶対デート中やから邪魔しやんほうがええやんな


「帰ろ…」


結局アニメイトに来たもののなにも買わずに帰った








「なにこれ」


朝、学校に行くと下駄箱に彩ちゃんと仲良くしやんでって紙が入っとった


「名無しやん、おはよう」

「あ、おはようございます」


角からいきなり出てきた彩さんにびっくりして紙をポッケに急いでしまった


「なんや?元気あらへんやん」

「そんなことないですよ」

「ならええけど
あ、お土産わ?笑」

「昨日、やっぱアニメイト行くのやめたんです」

「あ、せやったん?」

「はい」


なんやー名無しからお土産楽しみにしとったのにーなんて言いながら笑う彩さん


「じゃあ一緒に行こーや!」

「え?」

「アニメイト!一緒に行こーや!」

「えっ!?
はい!!一緒に行きましょ!!」


やばい!!
まさか彩さんと一緒にアニメイトに行けるなんて思ってへんかったからめっちゃテンションあがるんやけど!!


「今日とか空いとんの?」

「ぜんぜ「彩ちゃんやっと来たー」…」

「美優紀が先に行くって言ったんやろ?」


前から走って彩さんのところまで来た渡辺美優紀さんはいつもの笑顔からは想像出来ひんような顔で私を睨んできた


この手紙、入れたの美優紀さんなんかな。


「で、名無しは今日大丈夫なん?」

「あ、ごめんなさい
今日はちょっと予定があって…」

「全然ええよ
また行こーな」

「はい」


彩さんと話しとると間も私のことを軽く睨んでくる美優紀さんに確信した。
この手紙、絶対美優紀さんや









「名無し」

「彩さん…」

「ちょっと」

「え、ちょっ!!」


あれから彩さんからLINE来ても返さんようにして、学校でも会わんように時間ずらして登下校した。

そしたら彩さんが教室まで来た

彩さんから来てくれた嬉しさと、会いたくない気持ちで心がぐちゃぐちゃや…


「携帯出して」

「え…?」


腕を引っ張られて階段の踊り場でいきなり携帯出せって…

わけも分からへんまま携帯を出したらなんの躊躇いもなく私の携帯を開いた


「ブロックしとるわけではないんや」

「え?」

「LINE。
既読もつかへんし、連絡もこーへん
やけど、ブロックしとるわけでない」

「あー…」


彩さんからのLINEは通知が来ても開いてへんだけやから…

通知数30の彩さんのLINEを開かれた


「はい」


開いたままの画面で携帯を返された


「なんでLINE無視してんねん」

「別に…
忙しかっただけです」

「そーですかってなるわけないやろ」


怒った顔で私の横の壁に手をついた彩さん

壁ドン憧れとったけど、今の壁ドンはいやや…


「授業、始まっちゃいます」

「そんなんええわ」

「よくないです」

「名無し」

「な、なんですか…」

「なんで無視したか教えて」

「いや、や。」

「なんで?」

「なんでって…」


あなたの恋人に仲良くしやんといてって言われたからです。なんて言えるわけないやん


「彩ちゃん、ここにおった」

「美優紀」

「もぉ授業始まっちゃうで?」

「ん、先行っとって」

「名無しちゃんと話すんやろ?
ええよ、待っとく」

「ええって、あんたまで遅刻するで」

「別に彩ちゃんとならええよ?」


目の前で好きな人とその恋人のやりとりなんか見た無いわ…


「あ、名無し!!」


彩さんから逃げるように走った。

走りながら私の気持ちも流れてくれたらええのに…


-END-

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