しちゃいました

□お試しでもええよ
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「あんた、喋られへんの?」

「なんかいいや!」


あーまたやられとる。

4人の女の子に囲まれてぐずぐず言われとるのは同じクラスの山本さん

メガネかけとって、地味で、勉強できますオーラが強くて、女の子に囲まれとるのをよく見る


「なにしてるん?」

「あ、名無しちゃん」

「山本さんいつも1人やから構ってあげてん」

「そんなことより私と遊ぼーや」

「名無しちゃん遊んでくれんの?」

「うん、山本さんに構っとらんと行こ」

「名無しちゃんが遊んでくれるとか久しぶりやわぁ」


私はいわゆる遊び人
多分、この学校やと知らん人がおらへんってくらい有名やと思う


「ななしさん、さっきはありがとう」

「なんや、話せるんやん」


授業をサボって4人と遊び終わってから、教室に戻ると山本さんがお礼を言ってきた


「当たり前やん」

「ならなんで何も言わへんかったん」

「言うたところでやん」

「ふーん」


意味わからへんけど、まぁええか


「名無し、次の授業空いとる?」

「さっきサボったから空いてへん」


廊下側の窓から顔を出してきたみるきー。


山本さんは眉をピクリと動かしてみるきーを見た


「むぅ、、
たまには相手してくれてもいいやろ?」

「恋人おるやつがそんなこと言うなし」

「名無しじゃないといややねん」

「バレたら怒られるの私なんやで?」

「バレへんから大丈夫やって」

「その自信はどこから来るねん」

「えへへ
ならまた相手してな?」

「はいはい」


ばいばーいって手を振って帰っていったみるきー。

山本さんに目線を戻すと引いたような顔で見られた


「誰にでもすんの?」

「ん?」

「誰でもええんやな」

「別に誰でもええよ」

「あたしには分からへんわ」

「分かってくれんでもええし、分かってもらおうと思ってへんから」


あ、ムスッとした

一応こんな顔も出来るやな


「山本さんもされたいんならいつでも相手になんで」

「絶対ありえへんから」


ふーん、いい顔するやんか

その顔、そそられるわ


「ちょっと来てみ」

「え、ちょっ!」


山本さんの腕を掴んで屋上に連れてきた


「なにすんねん!もうすぐチャイム鳴るやんか!」

「サボったことあらへんのやろ?
なら大丈夫やって」

「はぁ?意味わからへん!」

「ちょっと黙ってくれへん?」

「黙らへんし、離してや!」

「なら黙らしたる」

「んんっ、やめっ…」


必死に抵抗してくる山本さんの頭をグッと寄せて唇を合わした


「んっ、くる、し…」


苦しくて少し空いた口に舌を滑り込ませて、逃げる舌を追いかけた


「ぃゃっ、」


肩を押してくるけど、それに負けへんように舌を絡ませればやっと静かになった


「んぁ…」

「気持ちええやろ?」

「っ、」


唇を離して口の端からどっちのものかわからへんものがたれとるのを親指で拭いてあげると真っ赤にして見つめてくる山本さん。


「可愛いねんな、あんた」

「は、何言うてん
あほやない」

「ハマりそうやわ
下の名前、なんて言うん?」

「同じクラスやのに覚えてへんのんや」

「しょうがないやろ、関わり無かったし」

「彩。」

「さやかちゃんか、ええ名前やん」

「あんたに言われても嬉しくない」


キリッと睨んでくる彩のメガネを取って、前髪を手であげた


「ええ顔しとるやん」

「メガネ、返して」

「いやや」

「ほんま、なんやねん」

「そんなに返してほしいんなら彩からキスしてや」

「はっ、ふざけんな」

「ふーんいらへんのや」

「むかつく。」

「しゃーなし、ほっぺでも…」


話しとる時に彩の顔が近づいてチュッと唇にキスされた


「これでええやろ」

「…」

「あんたが言ったんやんか
メガネ、返してもらうからな」

「ちょ、待ってや」

「まだなんかあんの?」


私の手からメガネを取って屋上から出ようとする彩の腕を掴むと呆れたように振り返った彩


「本気で私の彼女にならへん?」

「はぁ?」

「気に入ってん、彩のこと」

「ありえへんから」

「本気やから、付き合おうや」

「あたしは興味あらへん」

「なら、お試しでええから!」

「意味わからへん」

「ほんまに頼む」


顔の前で両手を合わせて頼むとはぁっと盛大なため息をつかれた


「…1ヶ月な」

「へ?」

「1ヶ月だけ付き合ったる」

「ほんまに!?」

「その代わり、変なことしやんといて」

「お、おぅ
頑張るけど…」


こうして彩と1ヶ月のお試し交際が始まった
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