しちゃいました

□お試しでもええよ
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「名無しちゃん、おはよう」

「おはよう」


朝、いつもより早く学校に来てしまった私は彩が来るのを待っとるんやけど、なかなかこーへん


「あ、の…」

「ん?」

「さっき山本さんが…」


初めて話しかけて来た子が彩が女の子に引っ張られて体育館裏に行くのを見たって教えてくれた


「ありがとな」


名前も分からへん子にお礼だけ言って体育館裏に走った


「あんた、名無しちゃんになにしたん?」

「みんなの名無しちゃんやねんで
独り占めすんなや!」

「…」

「名無しちゃんやってあんたのこと本気やないんやからさっさ別れろや」


ドンっと肩を押された彩は豪快に尻餅をついた


「なにしてんの」

「名無しちゃん…」

「言っとくけど、私が彩に惚れたんやで」

「うそやっ、」

「ほんま。
やから大事な彩、傷つけんといてくれる?」

「なんでこの子なん
他にもいい子たくさんおるやんか」

「彩のこと知らへんくせにそんなこと言わんといて
ほら、彩行くで」


ずっと黙っとる彩を立たせて肩を抱いて保健室まで歩いた


「大丈夫?」

「別に、尻もちついただけやし」

「ごめんな、私のせいで」

「名無しのせいやないやろ」

「でも、私のせいで…え!?」


い、今、名無しって呼んでくれた…?
名無しって呼んだよな!?


「なんやねん。」


ぷいっとそっぽ向いた彩やけど、髪から覗いとる耳が赤くなっとる。


「初めて名前呼んでくれた…」


やばい、嬉しすぎて涙出てくる。
こんな嬉しいの初めてや


「ちょ、なんで泣いてんねん」

「やって、嬉しいんやもん…」

「たかが名前やで?」

「全然呼んでくれへんかったのに」

「これから呼ぶから、泣かんといて」

「ほんまに?」

「うん、呼ぶから」


私の涙であたふたする彩が可愛くてぎゅっと抱きしめたら背中に手が回ってきた


「彩、好き」

「うん」

「んー、めっちゃ好きや」

「うん」

「彩は好き?」

「うん」

「うんじゃ分からへん」

「…すき。」


ぼそっとほんまに聞こえるか聞こえへんか位の声で囁かれたそれに心を奪われた。


-END-


長くなりそうだったからへし折った。
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