しちゃいました

□無理したらあかんやろ
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「名無しちゃん、大丈夫?」

「大丈夫大丈夫」


あたしの彼女は朝からフラフラしとる。
誰が声かけても大丈夫としか言わへんし…


「彩、あれほっといてええの?」

「あたしが言うても聞かへんやろ」

「わからへんやろ
とりあえず倒れる前になんとかせな」


まぁ、岸野の言うた通り倒れる前になんとかせなあかんと思うけど…

とりあえず言うてみるか


「名無し、ちょっと」

「なんですかー?」


へらーっと笑って来てくれた名無し
顔は少しだけ赤いな


「身体、だるいんとちゃう?」

「へっ」

「倒れる前に休まな」

「大丈夫です」

「ちょ、」

「メイクしてきますね」


やっぱりか…

フラフラしながら朱里の背中に抱きついた名無し
てゆーか、倒れたところにちょうど朱里の背中があった感じやな。













「彩さん、名無しちゃんが!!」

「え」


なんとか収録も終えて片付けをしとると遠くでドサッと聞こえた直後、凪咲が走って来た


「名無し、大丈夫か?」

「さやか、さん…」

「ほら、ちゃんと捕まっとき」

「はい…」


みんなに囲まれとる中心におる名無しに声をかけて運んだ


「あたしん家行こ?」

「さやかさん、お仕事は…?」

「今日はこれだけやねん」

「マネージャーさんに言ってきます」

「あたしが言うからここにおり」

「でも、」

「ええから座っとき」

「はい…」


マネージャーさんに言うて名無しとタクシーであたしん家に帰った


「大丈夫か?」

「だいじょーぶです」

「横になっとき」

「でも彩さんは」

「あたしはええから」


しんどいのにあたしの心配せんでええのに…


「とりあえず熱計り?」

「はい」


体温計を渡して薬の準備をした


「何度やった?」

「37度」

「見せて」

「ぇ。」

「38度5」


名無しから体温計を取ろうとするとよけられたからまさかかと思ったけど、ほんまに嘘やったとわ


「うぅー…」

「ほら、薬飲み?」

「苦いもん…」

「大丈夫やから」

「いややぁ」


苦いから飲みたないーって泣き出した名無し。

可愛いけど小さい子供やないんやから…


「飲まな元気ならへんよ?」

「やって嫌いやねんっ、いややねんー…」


いつもしっかりしとる名無しが薬1つでこんなに泣くなんて…

しょーがないな、あの手しか。


「名無し、おいで」

「いやや、んんっ…」


水と薬を口に含んで名無しに口移しで流し込んだ


「ぷはっ、」

「大丈夫やったやろ?」

「ぅん…」

「えらいえらい」

「彩さん、もう1回して…?」

「元気になったらな」

「もう1回してくれたらすぐ元気になります」

「ふはっ笑」


ぶすーっと頬に空気を入れた名無しに笑ってちゅっとキスをした


「すぐ元気になりますね!」

「ゆっくりでええよ」


にこーっと笑った名無しの頭を撫でて横にならした

すぐに寝息をたてた名無しに安心してベッドに頭を預けてあたしも目を瞑った


-END-

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