しちゃいました

□気づけー!!
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「彩ちゃん来たでー」

「来たでって…
え、てかなんやねん、それ」


バタバターと走って部屋に入ってきた幼馴染の名無しの両手にはたくさんのお菓子が…

しょっぱいの食べたら甘いの食べたくなるやん?って言いながらなんの遠慮もなくソファーに座った名無し

そーゆーことやないんやけどな


「また連絡なしで来てから」

「彩ちゃん、出かけるん?」

「別に予定はあらへんけど」

「えへへ、そーやと思った」


幼馴染の勘ってすごいなぁって笑いながらお菓子を開けた名無しにため息しかでーへん


「ん、これうまいで!」

「名無しはなんでもうまいって言うやん」

「ちゃうねん、ほんまにうまいねん!」

「いやいやいやいや」


見るからに合わなさそうな組み合わせやんか…

ポテチのチョココーティングとか、普通買わへんやろ


「ほら、食べてみ?」

「いやや」

「もー食べてみてよー!!」


ずいっと口の前に出す名無し

いやや、絶対美味しくないもん
なんで合わへんのわかってて食べなあかんの


「さーやーかー」

「やめろって」

「こーなったら、力ずくや!」


おいおい、あたしより力あらへんやつがあたしに力勝負か?
絶対勝たれへんのんやから無駄な体力つかうなって


「んぐぐ、まだまだや」

「あんたには負けへん自信しかないで」

「んー!!」


あっという間に名無しを押し倒して動かれへんようにすると、名無しは下であたしを押し返そうと肩を押して頑張っとる


「…はっ、むりや。」

「うぉっ」

「きゃ、」


いきなり力を抜いた名無しに腕が反応出来ずに名無しに覆いかぶさるようになってしまった


「わ、わりぃ!」

「んーん、大丈夫」


咄嗟に名無しの顔を見ると赤くなってそっぽ向かれた

なんやねん。
なんでそんな顔すんねん


「名無し…」

「彩ちゃん、お兄さんまだ帰ってこーへんの?」

「あ、あぁ
出てったきりやで
連絡も来てへんと思うで」

「そーなんや
あんだけお兄ちゃんっ子やったのに寂しいやろ」

「兄貴のこと好きやったのは名無しやろ」


兄貴が出てった日、わんわん泣いてこの世の終わりみたいな顔しとったやんか


「またそれ?
やから言うてるやん、ほんまのお兄さんみたいに慕っとったんやから普通に寂しくなるって」

「はいはい」


名無しが好きなのは昔から兄貴で。
そんな名無しを近くからずっと見とったあたしには見向きもせーへんと帰ってこーへん兄貴を待っとる名無しに少しでも振り向いてほしいっておもうんやけどなぁ。

兄貴と全然違うあたしを好いてくれることなんかあらへんって分かってんで。


「気付けや。」

「ん?」

「なんもあらへん
そんな食ったら晩御飯食べられへんくなんで」

「大丈夫大丈夫」

「あれ?最近また丸くなった?」

「っ!さいてーっ!」

「いたっ、叩くなや」

「女の子にそんなこと言うからやろ!」

「あたしかて女の子や」

「なら気付いても言わへんやろ!!」

「気にしとるとは思わへんやろ
いっつも食べとるし」

「気にするわ!!」


ぷりぷり怒り出した名無しをなだめるために名無しの好きな飲み物を取りに行くことにした


「気付いてほしいことは気付いてくれへんくせに、あほ彩。」


-END-

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