しちゃいました

□今でも好きなあの子
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「こんにちわー」

「え、名無しやん!」

「なんでおんの!?」

「名無しさんや!!」


ドラマの撮影でテレビ局におるとマネージャーさんにNMBもおるって聞いて楽屋に遊びに行った

卒業して2年半しか経ってへんけど、楽屋の外におっても聞こえる相変わらずの賑やかさに懐かしくなった


「みんな久しぶり」

「名無しどしたん?」

「ちょうど撮影しててん
マネージャーさんから聞いて遊びに来てん」


朱里と話しながら座らせてもらった

てか、私が少しだけ気にしとったやつはおらへんのんかな


「さや姉ならスタッフさんに呼ばれてんで」

「べ、別に探しとるわけやないし」

「まだ好きなんやな」


無意識にキョロキョロしとったらしく、朱里に探しとるのをバレた

スタッフさんに呼ばれとるんなら仕方ないか…


「私はずっと好きやで
別れてからもずっと。」

「一途やなぁ」

「彩以上の人は多分現れへんねん」

「ならなんで別れたん?」

「彩は私とおったらあかん人やから」

「…名無しは考えすぎや」

「ふふ、自分でも思う」


彩と私は付き合っとった。
私がNMBを卒業するまで3年間くらい
卒業をきっかけに別れたんやけど、2年半経っても忘れられへんらしい


「ゆーりならこれでもええんとちゃう?」

「え、いやです」

「えーあたしこれ好きやで?」

「なら彩さんが付けたらいいじゃないですか」

「やからゆーりも一緒に付けよーや」

「なんでですか」


朱里と話しとると彩がゆーりちゃんと話しながら帰ってきた


「さや姉」

「なに?…ぁ。」

「名無しさん」

「ゆーりちゃん久しぶりやな」

「お久しぶりです
彩さん、向こう行っときますね」


そんなあからさまに気まづそうな顔しやんでもええのに


「久しぶり」

「2年半ぶり?くらいやんな」

「うん」


朱里も気を利かしてくれて彩と二人っきりにしてくれた


「最近ドラマにも映画にもよく出とるよな」

「ありがたいことにな
優子さんとも共演できてん」

「ゆーりが見たいって言うたから一緒に見たで」

「見てくれたんや」


普通元カノの出とる映画を今カノと見ーひんけどな

でも、見てくれたことが嬉しかった
彩の意思やなくても。


「名無しに役が当てはまりすぎやったな」

「自分でも思った」

「…」

「…」


話すことがなくなって2人とも黙り込んでしまった


なに話せばええんやろ。
ゆーりちゃんと幸せに?
ちゃうやろ
実はまだ好きやねん?
いやいや、言われたら困るだけやん


「なぁ」

「なに?」


ぐるぐる頭の中で何話そうか考えとると彩から話してきた


「恋人、できた?」

「できたと思う?」

「やんな。」


なんやねん。
恋人なんか作る気さらさらあらへんし、好きな人すら出来るわけないねん


「あたし、」

「ゆーりちゃんのこと、大事にしたってな」

「ぇ?」

「私が言うのもおかしいねんけど、ゆーりちゃんみたいなええ子絶対泣かしたらあかんで」

「ちょ、名無し?」

「ほんまは付き合っとる人おんねん」

「そ、か」

「別に私から振ったんやし、彩が気にすることなんかあらへんけど、もしゆーりちゃんとのこと気にしとったらあれやから」

「うん」


彩の顔が心無しか少しだけ明るくなった気がする

やっぱ気にしとったんやな
私から振ったんやから彩は恋人作っても全然ええのに
そんなこと気にしやんでもよかったのに


「名無し、マネージャーさん来たでー!」

「はーい
ほんなら、末永くお幸せに」

「名無し、」


空気を読んで呼んでくれたであろう朱里に感謝して、彩の顔を見ずに楽屋からでた


「やっぱり来るんやなかったかな。」


彩に恋人が出来ても私の気持ちは変わることあらへんねん
多分これからもずっと好きな人は彩だけや。


-END-

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