しちゃいました

□春になったら
1ページ/1ページ

『春になったら遊びに行かへん?』


なんて貸しとった教科書の隅に彩の字で書かれとるそれを指でなぞった

最近会われてへんから寂しくて、期待しとるわけやないけど携帯を触ってしまう


彩が言うとったタイプの女の子に近づくために頑張ってきたけど、答えがどこにあるかわからへんし、これからどうしたらええかもわからへん。


「さやか…」


そんな毎日、彩に会われへんだけでやばいのに、彩の気持ちもわからんくて、考えるだけで涙が出てきた


ー名無しなら大丈夫や
絶対うまくいくで!


彩のことを考えとるとLINEが鳴って開いてみると彩からのLINEで元気が出た


「私にも春がこーへんかな…」


彩に面と向かって言うことはできひんけど、気持ちが届いてほしいなぁって。


「絶対忘れとるよな」


春になったらあんな約束忘れとるんやろーか。。
このまま離ればなれになるんやろーか…

彩と寄り道して帰った時に座ったベンチで触れた左手が思い出すと熱くなる


「気分転換しよ。」


何でもかんでも思い通りに行かへんくて、悩みが増えるな。

頭の中をリセットしたくて窓を開けると彩からの着信


『おっす』

「おっす」


恥ずかしくて、彩と同じように挨拶をすると笑われた


『今何してるん?』

「今は勉強しとるで
彩は?」

『あたしも勉強中』

「なんかあったん?」

『んーなんか名無しの声が聞きたくなってん』

「え…?」


そんなこと言われると期待しちゃうやん。
彩のせいで勉強どころやなくなってしもーたやんか


『ほんなら勉強頑張ってな』

「彩も」


急にごめんなって切られた電話


私に春が来るのは近いんかな…
彩からの気持ちは聞かれへんけど、そんな期待してもええよな?


私らもだんだん大人になっていくし、不安も募るけど、ずっとそばにおってくれんかな…

















「あった…」

「あたしも」

「さやかぁ!!」


大学の合格発表、彩と一緒に見に行ったら2人とも受かっとって、嬉しくて彩に抱きついた


「名無しならうまくいくって言うたやろ?」

「彩のおかげやで
ほんまありがとな?」

「…もう1つの方もうまくいくと思うで」

「え?」


それって…


「春になるし、遊びに行くか」

「さ、さやか…」

「あたしも好きやから、名無しのこと」

「さやかぁ!!」


周りには桜が咲いて春が来とるけど、私の心にも春がきた


-END-

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ