しちゃいました

□でーと
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「ごめん、待った?」

「今来たところです!」


待ちに待った菜々さんとデートの日

菜々さんは女の子らしくワンピースの格好をしとって、さっきから男の人がチラチラ見とる

私は可愛すぎて直視できひんのに…


「デパートでよかったん?」

「はい!
菜々さんは雑貨屋さん行きたいんですよね?」

「せやねん
ほしいものあんねん」

「ほんなら行きましょう」


駅の近くにあるデパートで彩さんがおるはず。

朝LINEしたけど、菜々さんとデート中やからLINEすることもできひんしおると信じてデパートに行った


「このキーホルダー名無し好きそう」

「え、なんでわかったんですか!」

「名無しっぽいもん」

「そーですか?笑」

「私も好きやし」


かわいい!と思っとったキーホルダーを菜々さんに当てられて少し嬉しくなって、買おうとするとまさかの菜々さんも好きらしく、お揃いで買うことになった


「友達とおそろいのキーホルダーって青春っぽいな笑」

「ですね笑」


"友達"


菜々さんにその気がないのわかっとったけど、友達、か…

ただの後輩やなくてよかったけど、ふくざつ。。


「あ…」

「ん、それ彩好きそう」

「ですよね」

「絶対好きやわ」


彩さんの好きそうなギターのキーホルダーがあってそれを見とると菜々さんも思ったらしい

今日見守ってくれとるし、感謝の気持ちもこめて買おうかな


「あ、ちょっと向こう見てくるな」

「はい」


菜々さんがアクセサリーの方に行ったからそのキーホルダーを買いにレジに行った


「なんか買ったん?」

「いえ、買ってないですよ
それかわいいですね」

「ほんま?」

「はい!」


なんでか分からへんけど彩さんに買ったのを隠してしまった。


菜々さんが手に持っとる星のネックレスを褒めると買おうかなって悩んでくれた

私の言葉で買おうか悩んでくれるんや…


「今日はお金あらへんし今度また考えよ」

「あ、そーなんですか?」

「うん
ほんまは今日買いたいものあってん」

「買いたいもの?」

「せやねん
こっち」


菜々さんに手を引かれて連れてこられたのはメンズ物を多く揃えとるところ。


「男の人って財布とかあげたら喜ぶやろ?」

「わかんないですけど…」

「ネットに書いてあってん笑」

「そーなんですね笑」


お父さんにでもあげるんやろーか??


あーだこーだ言いながら一緒に決めた財布を買った菜々さん。

満足そうな顔やなぁ。


「お父さんにですか?」

「ちゃうよ」

「え、?」

「来週、彼氏の誕生日やねん
1人で決めるのも難しいし、名無しわからへんかなぁって」

「かれ、し…?」


菜々さん、彼氏おったんや…
そりゃおるよな
おらん方がおかしいし
こんな可愛い子、男の人がほっとくわけないやろ


頭では理解しようとしとるんやけど、上手く頭が回らず頭の中がぐちゃぐちゃになった


「知らへんかったっけ?」

「はい。」

「まぁ名無しとそーゆー話しやんもんな」

「どのくらい付き合ってるんですか?」

「えっとー…
半年くらいかな」


はんとし…

入学するちょっと前、やんな。
私が菜々さんと出会う前から付き合っとるなんて、叶わへんな…


「名無し?」

「…なんではやく教えてくれんかったんですかぁ」

「ごめんな?」

「お父さんにやと思って選んだやないですか」

「でも私もこれがいいって思ったで?」

「…彼氏さんになら一緒に選んでませんよ」

「え…」

「彼氏さんにやったら菜々さん1人で決めなあかんと思います」


菜々さんのことが好きな私と選んだ財布を彼氏にあげるなんていやや。
もちろん、そんなの菜々さんは知らへんから菜々さんに非はない
あるとしたら私や


「やけど、私もこれがええと思ったで?」

「菜々さんに片想いしとる人と選んだ財布ですよ」

「名無し…?」

「私、初めから菜々さんのこと好きでした」

「えっ、ちょ…!!」


菜々さんは信じてへんと思い、信じてもらえるように菜々さんの唇に重ねにいった


「…ごめんなさい」

「なんで、?」

「ごめんなさ「ごめんな、これもらうな」…え、」

「さやか…」


びっくりしとる菜々さんに謝ると彩さんに肩を抱かれて連れていかれた
















「彩さんは知ってたんですか」

「知らへんかった
ごめんな」

「なんで彩さんがあやまるんですか」


彩さんは高校の裏にある公園に連れて行ってくれて、ベンチで話を聞いてくれた


「名無しも大胆やなぁ」

「好きなの信じてほしくて、頭で考えずに行動しちゃいました」

「野生か」

「菜々さんのこと、好きやってん」

「うん」

「よくよく考えたらあんな人に彼氏がおらんわけないやん
彼氏が羨ましいです」

「うん」


なんでもっとはやく気付かんかったんやろ
最初に聞いとけばよかったやん

泣き出してしまった私の頭を撫でながら話を聞いてくれた
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