しちゃいました

□君の知らない物語
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「星、見に行こうや」

「え?」


彩がいきなり立ち上がってみんなに言った


「10時に学校の裏山集合な!」


彩と仲のいい里香ちゃんもノリノリで、集合時間も決めてまた夜会うようにみんな帰った


「名無しも来るやろ?」

「うん、いく」

「ほんなら待っとるな」


爽やか笑顔で帰っていった彩。
そんな笑顔されたら勘違いするやろ、


「ほんまええこと言うたなぁ」

「高校生活最後なんやし、みんなで星見たかってん」

「名無しちゃん」

「菜々ちゃん、大丈夫やったん?」

「うん」


彩は里香ちゃんとはしゃぎながら山道を登るから話しかけてくれた菜々ちゃんと話しながら登った


「懐中電灯、ちゃんと持ってきたんやな」

「山やからいるかなって
菜々ちゃんは持ってきてへんの?」

「せやねん
やから上まで一緒に登ってな」

「はいはい笑」


真っ暗な山道をみんなで登って頂上まで来た


「せーの!!」

「うわぁ」

「むっちゃ綺麗…」


みんな登りきって、懐中電灯を切って彩のせーのの声でみんな一斉に空を見上げた


「名無し、見とる?」

「見とる
めっちゃ綺麗すぎてやばい」

「やんな」


嬉しそうに笑って私の頭を撫でた彩。

やっぱ好きや。

彩に言うたらびっくりするやろーか?
言う勇気なんかあらへんけど。


「彩ちゃん、ほしわかるん?」

「わかるで」

「え、おしえて」


私と彩の間に入ってきたみるきー


「1番明るいのあるやろ?あれがベガ」

「あれ?」

「せやで
ほんで、右下の離れたところにあるなんとなく光っとるのがアルタイル」

「アルタイル?」

「うん
で、ベガの左下にあるくらい星がデネブ」

「夏の大三角出来たな」

「織姫と彦星がベガとアルタイルやで」

「2人を邪魔しとるのがデネブ?」

「邪魔ってひどいな笑
天の川やん笑」


彩が言うとった星をみるけどベガしか見つけられへん…

彦星どこやねん。


彩に聞こうにもみるきーと楽しそうに話しとるから聞かれへん…


彩がみるきーのこと好きなのは知っとった
私が彩のこと好きになった時には2人は仲良かったし、両想いなのも気づいとった。


「何泣いとるん?」

「え、?」


2人を見たくなくて夏の大三角を探しとると彩が隣に来た

彩に言われて頬を触ると濡れとった
泣いとったんや…


「夜空が綺麗すぎて」

「そっか」


空のせいにしたけど、ほんまはあんたが好きやからや、ばか。

またみるきーのところに戻った彩。

行かんといて。って言ったら隣におってくれるんかな…


なんで2人を見ると苦しくなるのに見ちゃうんやろ


「ほんならみんな気をつけてなー!!」

「岸野うっさい」

「彩はすぐそこやからいいよな」

「はいはい、はよ帰れ」

「うっぜ」

「名無し、気をつけてな」

「うん」


笑ってみたけど上手く笑えとったやろーか

みんながぞろぞろ帰るからそれと一緒に私も家に帰った







彩の笑った顔も、拗ねた顔も、怒っとる顔を好き。

叶わへんって分かっとったのに、なんでこんなに好きになるん。


彩の知らへん、私だけの秘密。


-END-

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