しちゃいました

□けんか
3ページ/3ページ

「彩さん!!」

「愛梨、どしたん急いで」

「名無しがっ、!!」


スタッフさんと打ち合わせが終わって楽屋に帰っとると愛梨が楽屋の方から走ってきて、なんかと思うと名無しが倒れたって知らせてくれた


「名無し!!」

「さ、やか…」

「マネージャーさんが車回してくれるから家まで送ってもらお?」

「いやっ、」

「名無し…」

「だいじょーぶやから、1時間もあればだいじょーぶ。」

「大丈夫かもしれへんけど、また倒れたらみんな心配するやろ」


あたしの腕を弱々しく掴んで大丈夫って言う名無し

みんな心配そうな目で見とるし、これ以上名無しに無理はさせたくない。


「さやかと離れたくないっ…」

「え?」

「おねがい。頑張らして」

「…。」


あたしはどうしたらいい
名無しが離れたくないって言ってくれたことは嬉しいけど、あたしが一緒に帰る訳には行かへんし
かといって1時間で回復出来たとしても無理はさせたくない


「彩ちゃん、マネージャーさんが終わるまで待っとくからって言ってます」

「ゆーり。」

「とりあえず名無しはソファーで寝かしてて、終わったら名無しと一緒に帰ってあげてください」

「わかった」


ゆーりがマネージャーさんを納得させたらしく、名無しを楽屋で寝かしとって収録を急いで終わらせた


「キャプテンも恋人のことになると周りが見えなくなるんですね」

「ごめん。」

「はやく仲直りしてください」

「うん」

「それと、名無しはみんなと仲良いんで狙ってる子はたくさんいること忘れないでください」

「はい…」


名無しをマネージャーさんの車にのせて、荷物を取りに楽屋に戻るとゆーりが忠告してきてくれた。


「彩の家でいい?」

「はい、おねがいします」


マネージャーさんにあたしの家まで送ってもらって名無しをベッドに寝かした


「とりあえず、明日名無しは休みにしたから」

「ありがとうございます」

「彩は元から休みやろ?ちゃんと看病してあげて」

「はい」

「他にいるもんあったら連絡してや、買ってくるから」

「ありがとうございました」


コンビニの袋を受け取って、マネージャーさんが帰って行ったあと、名無しのメイクを落としておでこに買ってくれとった冷えピタを貼った


「ん、さやか…?」

「寝とってええよ」

「ここ、」

「あたしん家。収録終わってマネージャーさんが送ってくれてん」

「そっか…」


起き上がろうとした名無しをベッドに戻して頭を撫でると気持ちよさそうに笑った


「ごめんな、ゼリー食べて」

「わたしもごめんなさい
謝らんといけんって分かっとったんやけど、日にちが経てば経つほどいけれんくなってしもーた…」

「んーん、あたしが行けばよかっただけやから」

「さやか」

「ん?」

「すき。」

「っ、どしたん、急に」

「言いたくなってん」

「かわいい」


身体つらいのに、そんな顔されたら理性が崩れそうになるやん。
少し息も荒くて、ほっぺ赤いだけで危ないのに


「さやか、こっち来て」

「うん」

「ふふ、さやかの匂いや」


名無しがめくった布団の中に入るとぎゅぅっと抱きついてきた


「へんたい」

「ほんまは楽屋でも抱きつきたいんやけど、みんな見とるから恥ずかしいねん」

「そっか」

「やから彩から来てくれる時うれしい」

「ほんならこれからもあたしから行くで」

「約束やで」

「うん
やからはよ直し」

「ん」


抱きついたまま名無しの頭を撫でると少しして寝息が聞こえてきた

多分次起きた時には素直やない名無しに戻っとるんやろーけど、ほんまはあんなこと思ってくれとるらしいし、たくさん甘やかしてやろう


そー思いながらあたしも目を閉じた


-END-


前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ