しちゃいました

□ぜんぶ
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『彩、今日会える?』

「大丈夫やけど、なんかあるん?」

『いや、会いたいなって』


久しぶりに名無しから電話が来ていきなりそんなこと言うもんやからびっくりするやん


「名無しからそんなこと言うって珍しいやん」

『雨降るかもや笑』

「何時まで仕事なん?」

『もう終わってん』

「ほんなら迎えいくで」

『ほんま?劇場おるから来てやぁ』

「おっけ
また近くなったら連絡するな」


電話を切って財布だけ持って家を出た


「彩ちゃん」

「ゆーり、名無しは?」

「さっきはスタッフさんと話してたけど」


連絡したのに返ってこんくって、劇場に入ろうとするとゆーりがおった

ゆーりとは割とあっとるから久しぶりって感覚ないな笑


「そっか
名無し変やった?」

「え、いや特には
待っときます?」

「せやなぁ
ゆーりは?」

「次あるんで帰ります」

「わかった
頑張ってな」

「はーい」

「っぐへ、」


ゆーりが出ていったのを確認して中に入ろうとするといきなり背中にタックルされた


「名無し」

「おそい」

「ごめんって」


匂いですぐ名無しってわかったけど、振り向くとぶすっと顔の名無しが肩にぐりぐり顔を押し付けてきた


「さやかの家行きたい」

「明日公演やろ?」

「うん」

「大丈夫なん?」

「泊まる気やけど」

「あたしもその気やったけど笑」

「ええやん、お願い」

「まぁええよ」


名無しのものはあたしの部屋においてあるし、何も用意いらんからそのまま家に行った


「名無し、なんかあったん?」

「べつに?」


お風呂も終わらせて、名無しがぱぱっと作ってくれたご飯を食べてソファーで隣同士でテレビを見ながら聞いてみた


「名無しが会いたいって言うことあらへんやん」

「思ったんやからええやろ」

「珍しすぎてびっくりした」

「えードキドキした?」


ニヤニヤして顔を近づけながら聞いてきた名無し


「…したけど」

「ふーん、したんや」

「なんやねん!」

「べっつにー?」

「うざ」

「可愛いなって思っただけやで」

「はっ、!?」

「あはは、まぬけな顔してんで笑」


そりゃまぬけな顔にもなるやろ!
名無しに可愛いとか1回も言われたことあらへんのに


「一緒に寝る?」

「うん」

「おいで」

「あのさ話したいことあるんやけど」

「ん?」


寝る準備をして名無しを布団に入れると向かい合わせになった名無しが真剣な顔で言ってきた

嫌な予感しかせーへん。
なんかあったとかやないけど、胸の奥がザワザワする感じ…


「別れよっか」

「…いやや」

「うん」

「別れへんからな」

「冗談やから」

「言っていい事と悪いことあるやろ」

「彩のその顔が見たかっただけやねん」

「さいてー」

「ごめんな」


冗談ってわかったのに心臓のバクバクがおさまらんし、名無しに抱きしめられたから今何考えとるか分からへん

なんで冗談でも別れるとか言えんねん、あほ。


「明日、行く時起こす?」

「んー1回家帰りたいし、彩が出る時に出る」

「わかった」

「おやすみ」

「おやすみ」


結局、離してくれへんくてそのまま眠りについた
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