しちゃいました

□ぜんぶ
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「んー…」

「名無しちゃん?」

「あ、ゆーり」

「何考えてるの?」

「ちょっとね」


公演が始まる前、隅の方で紙を見ながら頭に叩き込んどるとゆーりが横からひょこっと現れて、急いで隠した


「昨日泊まったんですか?」

「彩ん家?」

「はい」

「泊まったよ
よくわかったな」

「シャンプーがいつもと違うから」

「犬か笑」


シャンプーの匂いでわかるってすごいな笑


「で、何見てたの?」

「ないしょー
ほら、行こ?」

「彩ちゃんが知ってること?」

「さぁ、どうでしょー」

「気になる」

「ゆーり」

「はい」


ゆーりのことはすごく好きやし、いろいろと尊敬しとる部分もある。
後輩やけど笑


「好きやで」

「いきなり告白ですか」

「私、さやゆーりが好きやねん」

「知ってます」

「これからも彩のことよろしくお願いします」


ゆーりなら彩がいっぱいいっぱいになる前に助けてあげれると思うし、彩もゆーりなら頼れると思う


「どっか行くみたいな言い方ですね」

「ちゃうよー
彩は私よりゆーりの方が言いやすいこともあんねん」

「じゃぁ名無しちゃんがいなくなったらもらいますよ」

「そーしてあげてください」

「え。」


ゆーりは多分、否定されるのを前提に言うてきたんやと思うけど、今の私やとお願いすることしか出来ひんから…


彩にLINEだけして公演の準備をした















「それでは、最後の挨拶を」

「ちょっとまったぁ」


アンコールも終わり、最後の挨拶の前に割って入った


「名無しちゃん…」

「私からお話があります」


スタッフさんにしか話してへんかったからメンバーもびっくりしとるし、お客さんもびっくりしとるのが見える


「私、ななし名無しは本日をもちましてNMB48を卒業します」

「え、」

「いややぁ!!」


お客さんから一斉に叫び声があがって、メンバーはほとんどの子がビックリして固まっとる


「急な発表になってしまって申し訳ありません。
実は最近よく躓くことがあって、マネージャーさんに相談して病院に行くと、網膜色素変性症と診断され、このままだと視界がどんどん狭くなってなにも見えなくなると言われ、治療法はなく、薬で進行を抑えることしかできないと言われました。
これ以上は続けることは不可能と医師の方に言われ、上の方たちとも話し合い、本日をもちまして卒業することとなりました。」


簡単にまとめてメンバーをみるとほとんどのメンバーが泣いとって、それにつられて涙が溢れてきてゆーりが泣きながら背中をさすってくれた


「メンバーのみんなにも言わなくてごめんなさい。
言ってしまうと甘えてしまうと思ったので誰にも言わずに決めさせてもらいました。
お時間を取らせてしまい申し訳ありませんでした」


気を取り直して最後の挨拶をして公演が終わった


「名無しさん」

「みんな黙っとってごめんな」

「名無しちゃん!!」

「ゆーり」

「なんで…」

「あぁ、泣かんといてー」


ボロボロ泣き出したゆーりを抱きしめた


「相談くらい、してくれたらっ…」

「ごめん。」

「彩ちゃんは」

「知らへんと思うよ」


彩の耳に入るのも時間の問題よな。
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