しちゃいました

□おーまいがー
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「名無し?」

「ん?っ、ぶ!!」

「ちょ、大丈夫?」


いつもより部活の居残り練を長めにして帰るとあたしと同じ高校のジャージを着た片想いの子の後ろ姿。

声をかけると振り返ってびっくりした顔をするなり食べとったコロッケを喉に詰まらせたのか苦しそうな顔をした


「ごめん、もう大丈夫」

「よかった」

「彩がおるからびっくりしたぁ」

「あたしもいきなり声かけたし悪かった」


さっき買ったばっかのお茶を渡すと飲んでくれて、落ち着いたのかヘラッと笑う名無し


「部活帰り?」

「せやねん
小腹すいたから食べとったら彩に見られた笑」

「あたしもよくそこのコロッケ買うねん」

「美味しいよな
あ、ちょっと待ってな」


ピンクのピンで前髪をとめて、いつもサラサラの髪は汗でぺたっとしとる名無しが可愛くてニヤけとると睨んできた


「今日暑かってん」

「暑かったよな」

「そんな見んといて」

「恥ずかしいん?」

「恥ずかしいわ!」

「名無しらしくてあたしは好きやけど」


言うた時には既に遅し。
一気に顔が真っ赤になった名無しにつられてあたしも赤くなって行っとるのがわかるくらい顔が熱くなった


「コロッケ、半分あげる」

「ええの?」

「うん」


目線をずらしたままコロッケの半分をちぎって渡してくれた


「名無しって部活がある日いつも1人で帰っとん?」

「基本は1人かな
先輩と帰ることもあるけど」

「ふーん
ほんなら時間が合ったら一緒に帰ろーや」

「ええけど、彩のが部活早く終わるやろ」

「居残り練するし、名無しが終わるまで待っとく」

「わざわざええのに笑」


そこまでして一緒に帰りたいん?って笑いながら聞いてくる名無し。

この際、もう言うたろかな…


「あたし、「私は彩と帰れるなら嬉しいけどな」…どーゆーことやねん」

「えー普通に彩と帰るの楽しいし!」

「まぁ時間が合ったらな」

「ふふ、やんな」


せっかく意を決して言おうとしたのに名無しと被ってしまって言えずじまい…
言うなってことなんやろーか。


「彩、あのコンビニまで競走しよ!」

「は?」

「行くで!
よーい、どん!!」

「ちょっ、!!」


いやいや、あんた陸上部やん!
用意もしてへんのに始めるとかずるすぎやろ


急いでダッシュを始めて追いつくように一生懸命走った

もしあたしが勝ったら告白させてもらおう。


-END-



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