しちゃいました

□きになるき
1ページ/2ページ

「名無し、こっち」

「いやいや、こっちでええわ」

「は?」

「まおきゅん、隣座るなー」


わざわざ隣開けとったのに前の席の三田の隣に座った彼女の名無し


「名無しちゃん隣座らんでええの?」

「今日は三田のきぶんー」

「ちょ、後ろ怖いから!!」

「大丈夫大丈夫」

「むり!もう既に殺気が…」

「あ、ほらもう大丈夫やで」


名無しが大丈夫って言う意味がわからんくてイライラしながら前を見るとゆーりが乗ってきた


「彩ちゃん、隣いいですか?」

「うん」

「名無しさんが前に座るって珍しいですね」

「だいたい後ろで騒いどるもんな」

「彩ちゃんの前ってのも意味あったりして」

「あーどーやろ」


隣にゆーりが座ることで三田も落ち着いて、あたしもさっきまでのイライラがなくなって普通に話した


「名無しちゃん寝るん?」

「寝やん」

「さっきから何回か寝落ちしてんで」

「してへんもん」

「かわいい…」


座席の隙間から見える名無しは何回か首がコテっとなっとってほんまに眠いらしい

まぁ、メンバーの前であんま寝ーへんからな


「昨日、名無しさんがみんなまとめてて」

「名無しが?」

「そーなんですよ
レッスンでまとめるって珍しいですよね」

「朱里とかおらんかったん?」

「いましたいました
でも、名無しさんが最初から最後まで仕切って、居残りも最後までやってたんですよ」

「へー珍しいな」


やから今日は寝不足とか?

え?でも昨日LINEした時はレッスン終わってすぐ帰ったって…


「え、ちょ、!!」

「んー…」


ついに三田の肩に頭を乗っけて寝息を立てだした名無し


「誰が残っとったん?」

「途中で帰ったんで最後まで残ってたのはわかんないですけど、怜とかそこらへんです」

「あーとりまきたちか
名無し平気そうやった?」

「とくに目立った感じはなかったですけど、それより仕切ってるのにみんなビックリしてました」


なんでいきなり仕切ったんやろ。
いつもは盛り上げたりふざけたりする方やのに


「名無しさん、ほっといていいんですか」

「ほっとくもなにも名無しからあそこ行ったんやで」

「それ、なんでか知ってますよ」

「なんで?」

「私が名無しさんに彩ちゃんのこと好きって言ったから」

「え?」


ゆーりがあたしのこと、好き?
それはないと思っとった。。
さやゆーりでやっとるけど、ずっとゆーりは名無しのことが好きなんやと…


「だから名無しさんが席譲ってくれたんです」

「それ、うそやろ」

「え?」

「ゆーりは名無しのことが好きやもん」

「なんで…」

「名無しに言ったんやろ?あたしと話したいから移動の時隣に座らせてって」

「ふふ、バレてましたか
私は名無しさんが好きで、昨日彩ちゃんの隣に座らせてってお願いしました」


やっぱ名無しのこと好きなんや。
そんな気がしとったし、分かっとるつもりやったけど、面と向かって言われると…


「なんで隣に座りたかったん?」

「名無しさんがイチャついてるのを見たくないから」

「でもあたしのやで」

「そーゆーところが嫌です。
あたしのだから渡さない、みたいなの。」

「ほんまやし」

「いくらでもチャンスはあると思ってるんで」


今日のゆーりはやけに積極的やな。

でも、あたしやって名無しへの気持ちは誰にも負けへんで


「じゃぁ、なんで隣に座らんかったん?」

「それは」

「隣に座ったら思う存分触れれたかもしれへんのに」

「告白された相手が隣にいたら落ち着くこと出来ないと思ったんで」


確かに、それだと名無しは気まづくなるかもしれへんな
あたしに告白した時も返事はいらんって逃げてから一切近づいてこーへんかったし


「あたしの隣空いてなかったらどーしとったん?」

「いや、彩ちゃんの隣に座るのって名無しさんが私くらいですよね」

「まぁ」

「空いてなかったら空いてなかったでいいんですけどね」

「名無しのこと、どーするん?」

「どーもしませんよ」

「奪うんで、とかないん?」

「…そーゆーのに興奮するんですか」

「ちゃうわ!!」

「声大きいです。名無しさん起きちゃいますよ」


確かに、今のは声が大きすぎた…

案の定名無しが起きたのか三田の肩から頭を上げた


「名無しちゃんおはよ」

「おはよ。寝とった…」

「寝顔可愛かったから記念に撮ったよ」

「なんの記念やねん」

「Twitter載せていい?」

「いいけど」


いいんかい!
三田も何撮ってんねん。

あとで三田のTwitter見よ


「名無しさんの寝顔とか見放題のくせに」

「なんやねん」

「べつに。ニヤニヤしてるから」

「してへんわ」

「私も後で見とこーっと」

「保存したらあかんで」

「そんなことする気なかったですけど」


やっぱ変態ですね
なんて笑いながら携帯を触りだしたゆーり

なんか、今日のゆーりにはかなわへんな。
何言うてもあかん気がする
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ