しちゃいました

□henzin
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「さやか!!」

「いっ…」

「山本さん、大丈夫!?」

「彩、保健室行こ!
里香連れてく!!」


体育の時間、男子の方から飛んできたサッカーボールに気付かんくて、顔面直撃。

痛いし、頭クラクラするし、ついてへん…


「私が行く」

「ぇ、」

「見学だし、それくらいやる」

「ななしさんお願いね」

「うん」


岸野に立たせてもらおうとすると見学しとった隣のクラスのななしさんにひょいっと身体を持ち上げられた


「先生、けが人」

「見てたで
とりあえずベッドにおろしといて」

「はーい」


保健室に行くと山田先生が見とったらしく、救急箱の準備をして待っとった


「ななしさんはもうええよ」

「ほんじゃ」

「あ、待って」

「なに?」

「ありがとう」

「別に。
見学やから少しくらい先生にええとこ見せんと評価貰えへんし」


おだいじにーって保健室から出ていったななしさん。

なんなん、あの子。
評価の為だけにわざわざ運んだんかよ


「彩、大丈夫か?」

「大丈夫」

「ほんまびっくりしたわ」

「あたしかてびっくりしたわ
いきなり視界変わるんやもん」

「ななしさん、かっこよかったな!!」


チャイムが鳴って、岸野が保健室まで迎えにきてくれて更衣室まで歩いとると違う声が岸野との間から聞こえた


「みるきーメロメロやったもんな」

「私もお姫様抱っこされたい!
どーやった?お姫様抱っこ」

「どーもこーもないで
見学やから評価もらわなあかんねん。って言われたわ」

「んんー!かっこいい!!」

「どこがやねん!」


美優紀がきゃーきゃー言うとるけど、ただの無愛想やで。

お姫様抱っこされた時はちょっとドキッとしたけど…


「山本彩」

「なに?」

「あ、自分?」


お弁当を広げとるとドアから名前を呼ばれて行くと、あぁ、って何故か思い出したような顔になったななしさん


「せやけど」

「山田先生が放課後までに保健室来てって」

「わかった」

「ほんなら」

「ななしさん、ちょっといい?」

「うん」


クラスの子がななしさんに真っ赤な顔で話しかけに行って、そのまま2人でどこかに行った


「あれ、絶対告白やな」

「彩ちゃんが羨ましかったんやなぁ」

「あんな無愛想なやつのどこがええねん」

「顔真っ赤にしてお姫様抱っこされとったやつがよく言うわ」

「あーぁ、あの時の彩ちゃん写真撮っとけばよかった」

「誰だって赤くなるやろ!ボールが当たってんで!」

「ムキになっとるー!!笑」


岸野も美優紀もニヤニヤしながら見てくるし、最悪。


「あの、彩ちゃん」

「ん?」

「ななしさんと付き合っとるん?」

「は?」

「え、彩そーやったん!?」

「なんで私らに教えてくれんかったんよー!!」


いやいや、え?
付き合うもなにも今日初めて話したんやけど


「べつに、「せやねん、付き合ってん。」…はぁ!?」


ななしさんと出ていった子が意味のわからんこと聞いてきて答えようとすると、ななしさんがさっきと同じようにドアのとこに立っとった


「さやかしか見てへんから私に告白してこんといてな」

「「「きゃー!!」」」


そのまま教室から出ていったななしさん


「ちょっと!!」

「なに?あー」

「なんやねん、さっきの!
第一、あたしらさっき初めて話したやんか
勝手に付き合っとることにすんなし」

「付き合っとる人おるん?」

「おらんけど」

「ならええやん。」

「あかんから」

「はぁ。」


ななしさんは面倒くさそうな顔をしたあと、思いついたかのように近づいてきた


「ちょ、んっ…」

「付き合っとることやなくてほんまに付き合えばええんやろ」

「なっ、!」


いきなりキスされてほんまに付き合えばええんやろとか言われても頭ついてこーへんし、なんでこいつは何も無い顔でまたキスしてきてんねん!!


「よろしくな、さやか」

「まだOKしてへんわ!!」

「2回もキスしたんやからOKってことやろ」

「あんたが勝手にしてきただけやんか!!」

「名無し」

「は?」

「あんた、やなくて名無しって呼んでな
一応付き合っとるんやから」

「やから付き合ってへんって」

「とりあえず、帰り迎えに行くわ」

「人の話を聞け!!」


変なやつに絡まれたお話。


-END-



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