しちゃいました

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「じゃあ頭からいくで」

「はぁ、はぁ、はぁ」


せっかくセンターに選ばれたんやからもっとちゃんとせな。
彩さんが卒業してセンターを任されたのに私がこんなんでへたっとったらみんな認めてくれへん。


「名無し、ターン遅い」

「はい、!」

「夢莉いいかんじ」


もっと上手くならな
彩さんが残してくれたものを無駄にせんくらいやらな


「名無し!!」

「っ、すみません」

「30分休憩」

「「はい!!」」


あ、やばいって思った時には既に遅し。
床に倒れ込んでしまった


「名無し周り見えてへん」

「はい」

「センターやからって1人でやろうとするんやなくて後ろにおる事も頭に入れとき」

「はい」


私は人一倍上手く踊らなNMBが終わったって思われる…
もっと練習せな


「とりあえず休憩はちゃんとしとき」

「…はい」


鏡の前に立って踊ろうとすると先生に注意された

トイレの横のスペースなら誰も来んはず…


「はぁはぁ、」


彩さんならどーやって表現するやろ
どーやったらみんなに認めてもらえるダンスになるやろ


「名無し?」

「彩さん!?」


タオルを頭から被って考えとるとタオルを持ち上げられて、顔を上げると彩さんがおった


「追い出されたん?」

「休憩中なんで、外でやろーかなって」

「休憩中なら休憩しとかな」

「まだ完璧じゃないんで…」

「ほんなら休憩終わったらあたしが見てあげるから
はい、休憩するで」

「でも」

「名無し」

「いっ、!!」


両手で頭をホールドされたかと思うとゴツンッと鈍い音と頭に痛みがはしった


「センターやからいっぱいいっぱいなのはわかるけど、ちゃんと周りもみなあかんで
1人で踊っとるんやない。みんなで踊っとるんやで」

「彩さん…」

「え、ごめん
そんなに痛かった?」

「違います」


抱えとったものが楽になったかのように、涙がポロポロ零れだした


「私がセンターでいいんかなって
もっと上手い人おるのに彩さんがつくってくれたNMBを壊したらどうしよって…」

「あたしがつくったんやなくて、みんなでつくりあげてきたNMBやで
もちろん名無しも一緒につくりあげてきた
あたしが卒業したからってみんなの気持ちは変わらへん
ずっとてっぺんとるきでやっとるのは名無しもやろ?」

「はい」

「その気持ちがあるんなら大丈夫や
みんな名無しのこと認めとるんやから、堂々と踊ったらええねん」

「はい」

「よし、ほんなら戻ろっか」


彩さんに手を引かれてレッスン場に戻ると美瑠さんとアカリンさんが来てくれた


「あーさや姉名無しのこと泣かしたやろ」

「名無し目が真っ赤になっとるやん!」

「さや姉になにされたん?」

「あー頭突きをちょっと…」

「ちょっとうちのセンターになにしてるん」

「名無し!!」


アカリンさんに聞かれて答えると彩さんにつめよる2人。


「でも、喝入ったんで笑」

「朱里と美瑠がLINEしてきたんやろ!!」

「やって名無しが苦しそうやったし?」

「さや姉やって心配やったくせに」

「そりゃ大事なメンバーが悩んどったら心配になるやろ」

「彩さん、ありがとうございます」

「いや、別にあたしは…」


彩さんにお礼を言うと照れたのかそっぽ向かれて、それを美瑠さんとアカリンさんがいじりだした

ずっとセンターやった彩さんはほんまにすごいから、それに少しだけ近づけた気がした

いつか同じところに立てたらこの気持ち伝えてもええかな。


-END-



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