しちゃいました
□ごめん
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「みるきー、帰る」
「はーい」
「うわっ」
「え」
みるきーに顔出すだけでいいって言われたから仕事終わりにみるきーの誕生日パーティーに参加したんやけど、こーゆーのあんま好きやないし、恋人待っとるから帰ろうとすると隣におったショートカットの子に思いっきりワインを服に零された
「ごめん」
「いや、大丈夫」
「ほんまごめんな」
「そんな顔せんでもええよ
クリーニング出せば済むし」
しゅんと仔犬みたいな顔になっておしぼりで一生懸命拭いとるから頭ぽんぽんして言うと安心したように笑った
「名無し、やんな?」
「うん
えっと、、」
「山本彩」
「彩はみるきーと仲良いん?」
「幼馴染やねん
名無しは?」
「高校ん時の同級生」
彩と話しとるとあっという間に1時間経っとったらしくみるきーにまだおったんやって笑われた
「彩の携帯、最新のやん」
「せやねん
こないだかえた」
「大きいなぁ」
「持ってみる?」
さっきから携帯をチラチラ見とる彩がなにを言いたいか分かっとるけど、番号を交換してしまったらあかん気がするから。
「すげぇ、絶対上タッチできんやん笑」
「えー名無しの手が小さいんやない?笑」
「絶対彩のが小さいやろ」
「合わせてみる?」
彩に合わせられとる手を見て恋人のことを思い出す
お揃いで付けとる薬指の指輪
彩のこと好きになったらあかんって言われとるみたいで近づいとった顔を離して下を向いた
「絶対あたしのが大きいと思ったのに」
「残念やったな」
「なぁ」
「名無しちゃんも彩ちゃんももっと飲んでー!!」
「私はもうええわ
彩飲み?」
彩がなにか言おうとしたけど、それを言われたら断ることは出来ひんし、ちょうどみるきーが来てくれた助かった
「あたしももういい
そろそろ帰らなあかんし」
「ほんなら名無しちゃん送ってってあげれば?」
「いや、悪いし」
「ええよ。送ってく」
みるきーに言われて無理とか言われへんし、彩を家まで送っていくことになった。
彩とは今だけの知り合いにしとかな、仲良くなったら友達じゃ収まらんくなるから
今だけ、手を引いて彩を守る役にまわるだけ。
「名無し、また会おうや」
「んー」
「あたし名無しのこともっと知りたいし知ってほしい」
「なんで?」
「それは…」
「3年付き合っとる恋人がおる。」
彩とこれ以上仲良く出来ひん。
恋人も彩も傷つけるなんて私には無理やから
繋いどった手を離すと彩は立ち止まった
「普段はツンツンしとるのに2人っきりになったらデレてくるねん
年下やのに甘えることが出来るし、心を許せる唯一の人
顔はむっちゃ綺麗で1万年に1人って言うてもおかしくないくらい美人で、笑うと可愛くて、私にはもったいないくらいなんやけどな」
「…」
「これ以上彩と仲良くなったら友達以上の感情になるねん。
恋人のこと傷つけてしまうから、それだけはしたくないねん。
やからもう彩と会うことはできひん。」
「あたし名無しのこと好きや」
「お願いやから私を最低な人間にさせんといて」
「そんなの」
「私のわがままや
自己中って言われてもいい
でも、これだけはできひん」
「わかった」
ほんまに自己中やし、彩のこと考えてないって言われたらそうやけど、これだけはあかんねん。
いつも大事な時に傍におってくれた人のことを裏切られへんから…
「帰ろっか」
-END-