しちゃいました

□Hold hands
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「またテスト前になったら彩ちゃんに教えてもらお」

「ええやん、それ」

「とりあえず夏休みの宿題やろ」

「宿題代行サービスほしいねんけど」

「名無しはもう終わっとん?」

「あと少しかな」

「里香の宿題わけたるわ」

「はー?嫌やわ」

「彩ちゃんはどのくらい残ってるん?」

「少し」

「もーさっきからテンション低いで」


彩が拗ねとるのはなんとなく分かっとる。

一緒におる里香とみるきーがラブラブやんとかどこまでしたんとか聞いてきたのに対して付き合ってないわって否定したからやけど、私らが付き合っとることは誰にも言うてへんし、もし言ったらあの2人はあれこれ聞いてきて彩は黙り込むやん


「明日、彩ちゃん家で宿題しよーや!」

「なんで」

「手伝って欲しいねん」

「自分でしろ」


ぶすっとした彩がカフェラテのストローをクルクル回し氷がカランと音を立てる

名無しと同じのって頼んだ彩にみるきーがニヤニヤしながらいつからそんな仲良しになったん?なんて聞いてきたから最初は適当に流しとったのに、2人があれこれ聞こうとするから面倒くさくなって否定をしてしまった


「てか、名無しの後輩の子まじ可愛いよな」

「ゆーりちゃんやろ」

「そうそう
透明感あって、学年でモテモテらしいで」

「里香には朱里がおるやろ」

「朱里とはまた違うやん」

「名無しちゃんのこと好きっぽいよな」

「たしかに!」


これはヤバいやつや
ただでさえ拗ねとるのに、ここでゆーりの話を持ってこられたら彩が怒るで


「それより、里香と朱里は最近どーなん?」

「里香らは普通に仲ええで」

「昨日もデートしとったの見たで」

「ラブラブやん」

「まぁな」

「名無しちゃん、私とかどう?」


にたーっと笑って言うてくるみるきー

ちらっと彩の方を見るとムスッとしながらズズッとカフェラテを飲み干しとった


「それより後輩ちゃんの方がお似合いやろ」

「たしかにゆーりちゃんと名無しちゃんやったら絶対似合っとるけど」

「付き合えばええやん」


バッと立ち上がって店から出ていく彩


「さやか!!」

「え、彩ちゃん!?」


里香に悪気がないことはわかっとる。
さっきまであーやって言うとったけど、ほんまに付き合っとるとか知らへんし

とりあえず彩を追いかけた


「さやか、待ってって!」


通り過ぎるの人にむっちゃ見られるけど、今はとりあえ彩に追いつくことしか考えられへん

徐々に彩に近づいていく。


彩が本気を出したら絶対追いつかれへんのに、もしかしたら…


「捕まえた」

「っ、離して」

「やっぱり。」


泣いとるんやないかって勘があたった

腕を捕まえて振り向いた彩の目には普段じゃ見られへんくらいの涙が溜まっとった

つよく抱きしめると彩はボソボソと話し始めた


「ゆーりと付き合えば」

「彩と付き合っとるやん」

「…否定しとったやんか」

「それは、付き合っとるとか話してへんし言われたくないんやと思ってん」

「ムキになって言うとった」

「ごめん。そんなつもりはなかってん」


自分ではそんな強く言うた気はなかったんやけどな…


「名無しはあたしと付き合っとるの隠したいん?」

「そんなことないで
こんな可愛い彼女いますって言いふらしたい」

「だったら、」

「でも、みんなに囲まれてあれこれ彩のこと聞かれたくない
2人っきりの可愛い彩は私しか知らんでええのにって思う」

「可愛い可愛い言うな」


耳を赤くして殴ってくる彩。

こーゆー言葉で照れとる彩をみんなに見せたくないねんな。


「彩が嫌やないんなら2人に付き合っとるの言お?」

「嫌やない」

「ん。最初から話して決めたら良かったな」

「ごめん」

「ええよ
ほら、帰ろ?」


彩に手を出すと握ってくれた

このまま帰ればみるきーたちも察するやろ
もしかしたらもう薄々気づいとるかもしれへんけど


「名無し」

「ん?…っ、」


歩き出した私の手をぐいっと引っ張った彩にそのまま顔を近づけられた


-END-



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