しちゃいました

□TとS
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「せんせー」

「ちょっ、」

「引っ張らんといてや」

「なんでそーやっていっつも驚かすん?」

「先生が勝手に驚いとるだけやん」


準備室のドアをガラッと開けて入ってきた山本さん

ノックくらいしてくれんとビックリするやん


「あ、この本読みたかったやつ」

「山本さんも本とか読むんや」

「基本は漫画やけどな
あと、山本さんやないし」

「…さやか」


山本さんやん。って思いながら名前を呼ぶとすましとる顔がくずれて少年の笑顔になる

彩のこの顔が1番好き


「これ先生のなん?」

「うん
読み終わったら貸そーか?」

「んーいいや」

「なんやねん、それ」

「今度先生の家に行った時に読ませてや」

「ええけど…」


それじゃぁ家に来る意味ないやんって言葉は飲み込んだ


もうわかったと思うけど、彩とは付き合っとる
先生と生徒やし世間的にあかんけど、卒業までは恋人らしいことしやんって約束しとる

やから彩が家に来るのはまだ1年以上先


「そーいえば美優紀が振られたらしいねん」

「渡辺さんでも振られるんや」

「茉由は美優紀のこと好きやから喜んどったけど」

「小笠原さんって渡辺さんのこと好きなんや」

「てか、優子先生が名無しのこと可愛いって言うとったで」

「は!?」

「優子先生と仲良いん?」


いきなり名前で呼ぶから変な声出ちゃったやん

仲良いってゆーか、いろいろ教えてくれとったからほかの先生よりは話すくらいやけど…


「仲良いわけではないけど」

「ふーん」

「どしたん?」

「あたしも名前で呼びたい」

「そんなことしたら」

「他の人にバレから2人の時だけ」

「まぁ、ならええけど」


2人の時ってここに来る時だけやし、それならバレへんやろ


「名無し」

「なにー?」

「ちょっとこっち来て」

「ん…っ!?」


椅子に座った彩に呼ばれて近づくと腕を引っ張られて彩の上に座る形になった


「ちょっ、あかんって」

「なぁ、あたしのこと好き?」

「う、うん」

「ならええよな」

「なっ…」


なにが?って聞こうとしたら一瞬顔が重なって離れていった


「じゃぁ」

「さや、山本さん!!」


そのまま立って部屋から出ていこうとする彩の名前を呼びそうになり、急いで訂正する


「あれ、彩ちゃんやん」

「美優紀」

「顔、赤いけどなにしとったん?」


にやーっと笑う渡辺さん

顔が赤いってもしかして、照れとる?


「ふふ、」

「名無し先生怖いんやけど」

「はよ教室戻らな遅刻するで」

「はーい
彩ちゃん、行こ」


山本さんの腕を引いて教室に戻る渡辺さん

あんなことしてきたのに照れるとか可愛すぎやろ


でも、約束は約束やから、今度からは気をつけなあかんな


-END-



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