しちゃいました

□drunk on
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これから飲まへん?


彩から来たLINEに二つ返事で返して家の近くの居酒屋で会うことになった


「おつかれー」

「おつかれ」

「彩何飲む?」

「ビールでええよ」

「ほーい」


店員さんにビール2つとおつまみを適当に頼んで、彩と向かいあわせで座った


「名無しってビール飲めたっけ?」

「最近飲めるようになった」

「意外やな」

「そんな彩やって前まで飲まへんかったのに」

「今日はそーゆー気分やねん」


実は彩に誘われた時から決めとることがあって、お酒の力を借りて告白しようと思ってるんよな
さすがに完璧に出来上がってからではないけど、いい感じに酔った方が気持ちを素直に出せるかなって


「「かんぱーい」」

「なんか、大人になったって感じがするよな」

「確かに
昔はジュースやったもんな」

「ビールで乾杯する時が来るとは思ってへんかった」

「彩のとこは誰も飲まへんのやろ?」

「飲まへんなぁ
あたしも飲まんと思っとった」


私らも大人になったんよな…
グループ在籍時から抱いとった彩への思いが何年も伝えられてへんって考えたら自分でもヘタレやなって思う


「名無しー」

「ちょ、溢れとるから」

「なぁこっち来て」

「行くから一旦離して、な?」


私の勇気が出る前に彩が先に出来上がってしまった

これはまた今度になるパターンやな。


机の上で握られとった手を離してもらい彩の隣に座った


「んー名無しの匂い」

「嗅がんといてやぁ」

「落ち着く。」

「寝やんといてよー」

「名無し」

「んー?」

「なんか、昔を思い出すな」


確かに、昔の方が今より素直にくっつけとったし、動けとったかもしれへん
もっと早く勇気が出とったかもしれへん


「名無しの家行く」

「え、」

「あかんの?」

「ええけど、散らかっとるで」

「いく」


彩の肩に手を回してタクシーを拾って家まで帰った


「ちょ、靴脱いで」

「ん。」

「もぉ」


靴を脱がずに玄関に座った彩の足から靴を脱がすと解放されたのかへにゃっと笑った


「ベッド行くで」

「ん、ぬぐ」

「ここで脱がんで!」

「いやや、苦しいねん」


ソファに座ろうとした彩を立ち上がらせたら服を脱ぎ出して、とりあえず見ーひんように後ろを向いた


「名無し」

「…ぇ。」

「いこ」


背中に抱きつかれて、むぎゅっと当ててくる彩

できるだけ他のことを考えながら背中に抱きついたままベッドに運んだ


「んー。」

「お水持ってくるから待っといて」

「いや」

「いやって、飲んだ方がええよ?」

「いらんから。」


布団を被せてお水を持ってこようとすると顔を赤くしとる彩に手を握られた


「あたしに言うことあるやろ」

「まぁ」

「聞きたい」

「だーめ
また今度言うから、な?」

「そーやって先延ばしにして全然言うてくれへんやん」

「分かっとったん?」

「…あたしも同じ気持ちやから。」


また今度また今度って何回も延ばして来たけど、それも彩にバレとったんやな


「明日の朝、必ず言うから
とりあえず寝よ」

「聞くまで寝ーへん」

「さやか」

「ずっと待っとってん」

「絶対明日言うから」

「ほんまに?」

「うん、約束する」

「ほんならきすして」

「え?」

「約束、してくれるんやろ」

「わかった。」


顔を近づけて唇を重ねると嬉しそうに微笑んだ彩はそのまま目を閉じて寝息をたてだした

危うく言いそうやった…
でも、ちゃんと聞いとってほしいから酔っとる時やなくて、明日絶対言うから。

もし今の記憶がなくてもちゃんと話聞いてな


-END-



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