しちゃいました

□こい
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「名無し先輩もサボりですか?」

「うん。1年生?」

「はい!」

「ふーん」


図書室にサボりに行くと名無し先輩がおった

噂ではむっちゃ冷たくて誰も相手にせんって言われとるらしいけど、噂通りなんやろーな


「先輩って彼氏いますか?」

「できたことない」

「ほんまですか?こんなかわいいのに」

「興味ないし。」

「そーなんですね」

「自分は?」

「過去に1人だけ付き合った人がいます」

「へー」


自分から聞いてきたのにその反応ですか…


「名無し先輩って何部ですか?」

「帰宅部」

「運動できるのに部活入ってないんですか?」

「うそ。バスケ部」

「え、なんで1回嘘ついたんですか」

「なんとなく。」

「バスケ部、体験しに行っていいですか?」

「ええんやない?」

「なら放課後行きますね」

「うん」


先輩から帰ってくる言葉は短いけど、相手にせんってほどではないし、噂もあくまで噂なんやな。


「あ、どこ行っとったん」

「図書室でサボっとった」

「1人で?」

「え?」


チャイムが鳴って教室に戻ると美優紀にニヤニヤしながら聞かれた


「彩ちゃんってほんまわかりやすいよな」

「そんなことないやろ」

「で、なにがあったん?」

「放課後バスケ部の体験に行く」

「へぇ、バスケ部かぁ」

「なんやねん」

「私も体験に行こうかなーって」

「好きにしたら」


好きにするーって言いながら抱きついてくる美優紀をそのままにして、放課後を楽しみに待った


「名無し先輩ってめっちゃバスケ好きなのが伝わってきます」

「君もうまいやん」


放課後、体操服に着替えてバスケ部に行くと名無し先輩と1対1で練習させてもらった


「ほんまですか!嬉しいです
あと、名前で呼んでください」

「あー、」


名無し先輩にめっちゃ苦笑いされたんやけどそんなに名前呼びたくないんかな、?


「あの、今日一緒に帰りませんか?」

「ええよ」

「え、まじですか」

「うん」

「名無しー」

「なに」


断られる覚悟で聞いたのに、OKもらえると思ってへんかったから変な声が出てしまった

名無し先輩はそのまま2年生の先輩に連れて行かれてしまって部活体験が終わるまで話すこと出来ひんかったけど、一緒に帰ってくれるよな


「あ、おった」

「遅くなってすみません」

「別にええよ」

「名無し先輩、この子と帰るんですか?」

「うん」

「私とは全然帰ってくれへんじゃないですか」

「また今度な」

「もぉ。」

「あ、えっと…」

「ほっといてええよ、帰ろ」


どこで待っとけばいいかわからんくて、急いで着替え終わってから体育館や更衣室とか色々探しに行ってもおらへんからもしかしてと思って門のところに行くと、壁にもたれて待ってくれとった

バスケ部の1年生の子に話しかけられてだるそうに会話しとったけど、あんま人と一緒に帰らんのんかな


「先輩ってほんまにバスケ上手いですよね」

「自分、バスケ経験者なん?」

「体育の授業でやったくらいですよ」

「そーなんや」


全然名前呼んでくれへんなぁ。


「なまえ」

「え?」

「私、君の名前知らへん」

「えっと、、そうでしたっけ?」

「うん」


あたし名乗ってなかったん!?
めっちゃ失礼なやつやん。
そりゃ名前で呼んでもらえへんよ、あほやん


「山本彩です
彩るって書いてさやかって読みます」

「ん、おぼえた」

「名無し先輩に名前呼ばれたら飛んで喜びますよ」

「なんで私の名前知っとるん?」

「先輩有名ですもん」

「そーなんや」


私も有名なんや。ってつぶやいとるけど、この人有名なの自覚してへんのかな
あんだけ周りの人に注目されとるんやけどなぁ


「名無し先輩って他の子と一緒に帰ったりしないんですか?」

「うん」

「え、めっちゃ嬉しいです」

「勘違いしやんといて」

「わかってますよ!
でも、嬉しいんです」


少しは他の子と違うって思ってくれとるわけやろ?
勘違いしやんといてって言われても嬉しいものは嬉しいもん。
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