しちゃいました

□となり
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「さやか!」

「久しぶりやな」

「また会ってへん間にかっこよくなった?」

「名無しもだいぶ変わったな」

「えへへ、頑張ってます」


あたしらは家が隣同士でいわゆる幼馴染

高校に上がるまであたしの隣に名無しがおるのが当たり前やった


「私、大学で家出ることにした」

「えっ、どこの大学」

「関東」

「そっか」


ずっと隣におった名無しが隣からおらんくなる。


「1人で電車乗れへんかった名無しが一人暮らしかあ」

「今は1人で乗れるで」

「さみしくなるな。」

「思ってへんやろ」


感情を隠すように言ったセリフに名無しは頬を膨らませた


「思っとるよ」

「彩はいつもチャラチャラしとるから信じられへん」

「…なあ。」

「なに?」

「名無し恋人できた?」


風で髪がなびいて名無しはふいっとそっぽむいた


「できるわけないやろ」

「ほんならキスもまだなんや」

「え、なにそのキモい質問」

「キモいは傷つくんやけど。」

「ふふっ、」


風の中で微笑んだ名無しの頬に手を伸ばして優しく微笑んだ


「さや、か?」

「ごめんな。」


一瞬だけ触れた唇。赤くなる名無しの顔。


「おそいわ、あほ。」


目に涙を浮かべながらあたしの胸に飛び込んできた名無しはあたしの隣からおらんくなった。


-END-



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