しちゃいました

□傘の中で
1ページ/1ページ

「なにしてるん?」

「名無し!」

「帰らへんの?」

「あー、うん帰るで」


駅のところで偶然彩と会った

最後にいつ会ったか思い出されへんけど、その時よりも一段に綺麗になった彩は空を見上げて歩き出そうとしやん


「彩?」

「なに?」

「…傘入る?」

「ええの?」


空模様と同じ顔の暗さの彩に言うと一瞬で顔が明るくなった


「名無し最近なんかあった?」

「んー特になにも」

「そうなんや」

「彩はライブ三昧やな」


少しでも彩が濡れへんように彩の方に傘を傾ければそれに気づいて2人の隙間をゼロにしてくる彩


「せやねん!来てくれるやろ?」

「行く予定ではおる」

「いつ来る?東京?」

「いつ行くかなぁ」

「あんたいっつも来る時教えてくれへんやん」


だって楽屋に挨拶行った時にびっくりする彩が面白いんやもん


「ツアー決まった時から来てって言ってたもんな」

「ライブ終わったら一緒にご飯行こうや」

「ライブ後なのに大丈夫なん?」

「アドレナリン出とるから大丈夫!」


なにが大丈夫なのかわからへんけど、まあ彩が大丈夫って言うなら、、


「名無し濡れとるやん」

「ツアー中の彩が濡れたら大変やし」

「風邪引いたって聞いたら飛んで看病しに行くわ」

「ほんならツアー終わるまで言わんとくな」

「普通彼女には言うやろ、アホ」


まぁそりゃ彼女なら…彼女!?
彼女って恋人ってことやんな?恋人って付き合ってるんよな?誰と誰が?

私と彩が!?


「彼女なん、?」

「は?」

「え、待って、いつから!?」

「ほんまに言うてんの?」

「…あの時ほんまやったん?」

「冗談で言うわけないやん」


前回会った時はご飯帰りで酔っとったこともあって彩の顔が見たくなっていきなり家に押しかけた時に言われた好きって2文字。両想いやんって嬉しくなって飛び跳ねるように抱きついたら付き合ってって真っ赤になった彩に言われた。
気づいたら自分のベッドの上やったし、良いようにみた夢やと思っとった


「あの時名無しが言ったのは嘘やったん?」

「嘘やない!」

「なら彼女やん、」

「彩が私の彼女」

「いや、?」

「ううん!嬉しい!」


不安そうな顔で見てくる彩に笑顔で返すとにやっとした顔になった彩


「なら、ちゅーして」

「は、!?」

「あたしのこと、好き?」

「好きやけど、ここ外やで!?」

「大丈夫やろ、」


傘で隠すようにして顔を近づけてくる彩

ほんまにこの子はどこでこういうことを覚えてくるんやろ。


-END-



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ