恋を2

□春のうららの...何川やろ
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いつも乗る電車よりも1本遅い電車。

寝坊なんていつぶりやろ…

ドアに向かい合わせで満員電車に乗り込みぎゅうぎゅうの中で呑気に最後の寝坊のことを考えよったら隣の女の子が涙目になりながらドアにしがみつくように立っとった

まさか、ね…

その子と後ろのおじさんの間をちらっと見るとやけに距離が近い


「なぁ、大丈夫?」


小声でその子に聞くとふるふると首を振った

ってか、この子めっちゃかわいいやん


「後ろのやつやんな」

「い、やや…」

「え?」


突然振ってきた天使の声
…じゃなくて


「いややって…
このままになるで?」

「けど、大声出さんといて…」


あー。。
痴漢されとるって知られたくないんやな


「わかった。」


ほかの人にバレへんようにおっさんの手をつかんでちょうどついた駅にその子とおっさんを連れ出した


「お、おい」

「あんた、なにしたかわかっとん?」

「お、俺はなにも」

「しらばっくれんなや」

「…」

「この子に謝ってくれん?
それと、今度からこの電車に乗んなや」


おっさんはその子に謝ってそのままどっかに行った


「あ、あの」

「謝られるだけじゃ足りひんかった?」

「いや、そーじゃなくて…
ありがとうございました」


ペコッと頭を下げた女の子


「あたしそんな感謝されることしてへんで?」

「北高の生徒ですよね?」

「せやで
その制服は…」

「南高です。」


お嬢様ばっかりか…

うちの高校の川を挟んで目の前にある高校の南高はお嬢様学校
あたしが通っとる高校はヤンキー高校なんやけどな…


「南高の生徒が電車なんか珍しいな」

「あ、私お金持ちじゃなくて…」

「南高なんやろ?
この電車乗らんと遅刻するで?」

「あなたもですよね?」

「せやけど、あたしのとこは遅刻しても構わへんからな笑」


遅刻しとるやつなんかほとんどだし笑


「私も北高行きたいな…」

「来てみる?」

「え?」

「別に他校のやつが来ても誰も何も思わへんよ?」

「いいん?」

「全然
来たいんやろ?」

「うん!!」


ニコッと笑う彼女に釘付けになったあたしが恋だと気付くのはもぉ少し先のこと。


-END-

高校に他校の生徒を連れ込んではいけません。笑

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