恋を2

□目を見て
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山田が突然消えてからはや2年。
高校も無事卒業できて、大学に通っとるあたしはあの日の山田との約束を忘れてなんかない。

でも、幸せかって聞かれたら胸を張ってはいって言えへん。

あの後気づいてん。
あたしは山田への罪悪感と罪滅ぼしの為に毎日行っとったわけやあらへんって

山田はあたしにとって光をさしてくれとった。

あんたおらんとうまく笑えへんねん。
頼むから、帰ってきてや


「彩ー」

「なに?」

「あんな、彩に報告あんねん」

「え、なに怖いんやけど」

「まぁまぁ笑」


岸野がニヤニヤしながら近づいてきた

「じゃんっ!
この子、里香の彼女!」


そー言って目の前に出てきた女の子


「…えっ?」

「彩、大丈夫か?」

「な、んで…」

「彩?」

「やま、だ」

「彩、びっくりした?
私、こっち戻ってきてん!」

「菜々ちゃん、彩びっくりしてフリーズしてんで笑」


いきなり現れた山田は岸野の顔を見て一緒に笑った


「山田、目…」

「私海外行っててん。
海外にすごいお医者さんおってな、失明が治るって言われて、2年間向こうおってん
やけど、やっぱり彩の顔ちゃんと見たいから昨日帰ってきてん!」

「里香が駅歩いとったらどっかで見た事ある顔やなーって感じで近づいたら菜々ちゃんやってん!」


初めて生で見たけど、すぐわかったわ!ってドヤる岸野


「山田、ほんまに見えてんの?」

「見えてるで、彩の泣きそうな顔」

「菜々ちゃんと会ったときに聞いたからびっくりしたんやけど、失明してんの知らんかったから彩に酷いこと言ったやん?
やから、謝罪もこめて菜々ちゃん連れてきたで!」

「里香ちゃん、ほんまありがとな」

「菜々ちゃん可愛いからすぐわかったで!
なんか1人だけ輝いとった!!」

「菜々ちゃん?って声かけられた時誰かわからんかったから怖かってん笑
話聞いたら彩の友達やったから安心したわ笑」


どんどん話を進めていく2人においてけぼりのあたし

とりあえず、山田と2人になりたいねんけど。


「菜々ちゃん、1人で来たんやろ?
彩今一人暮らししてんねん!
泊めてもらえば?」

「え、彩が一人暮らし!?」

「あたしやって一人暮らしくらいできるわ!」

「えーなら泊めてもらおうかなぁ」

「じゃ、里香は役目終わったんで帰りまーす」

「おん
岸野、ありがとな」

「かまへんかまへん」

「里香ちゃん、また会おうなー!」

「はーい!」


気をつかってか帰っていった岸野の背中を見ながら頭を整理した


「彩、大学行ったんやね」

「あたし、医学部やねん」


山田がお荷物発言して消えたあの日から医学部に行こうって決めてん。
山田がそんなこと思わへんよーに目を治してあげたかってん


「いがくぶ?」

「山田みたいに失明した人に光をさしたいねん。
ホンマは山田のこともなおしたかったんやけどな…」

「彩がお医者さんになるまでまだまだやからなぁ笑」

「山田、ありがとう。」

「え?」

「帰ってきてくれてありがとう。
あたし、あんたおらんと多分あかんねん。」

「彩…」


あの日からずっと思っとった
本当は小さい頃から好きやったと思うけど、この感情がわからへんままあの日をむかえて、やっと気づいてん。


「山田のことが好きやねん。」

「さやか…」

「あたしと付き合ってや」

「彩ぁ、私なんかでいいん?」

「山田がえーねん」

「私、ずっと彩が好きやってん。
やけど、目見えへんし、私が好きになったらあかんのんやと思っててん。
めっちゃ嬉しい」


涙を流しながら微笑んだ山田に心が弾んだ


「菜々、あたしと付き合ってください」

「はいっ」


ギューッと抱きついてきた山田を支えるように抱きしめ返せば山田と目が合った。


「好きやで、彩」


満面の笑みの山田と。


-END-
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