恋を2

□友達以上
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「25番、山田菜々です」

「26番、山本彩です。」


NMB48の1期生オーディションでエントリーナンバーが前後だったさや姉とは何となく似とる感じがしたんや。


「やまもと、さやかちゃんやんな?」


オーディションが終わってみんなが集まる中、周りの様子を見とったさや姉はどこか私と同じやなって思っとってん


「あの、さ…」

「ん?どないしたん?」


レッスンの帰り道、ちょうど一緒になったさや姉は少し緊張したような面持ちで話しかけてきて、心配した私を裏切るように言ったんや


「山田って呼んでもええ?」

「へ?」

「その、あたしからしたら苗字の方が親近感わくねん」

「ふふ、わかった」


ゆっくりやったけど、さや姉とは心を通わせることが出来とるんやないかなって。
同じ空を見上げて同じこと考えとるんかなって。


「山田…」

「さや姉は1人やないから」


仔犬のような顔をするさや姉を見て何が言いたいかわかるようにもなった。

私だけが辛いと思っとった。
けど、彩もつらいって思ってたんやな。


「なぁ、山田」

「さや姉、それはあかんと思うわ」

「せやけど」

「さや姉だけが先走っても誰もついていけれんよ
もっとみんなのこと信用してや」


お互いがなんとなくわかりすぎて、先回りしてケンカも何回もした。
せやけど、ちゃんと最後は仲直りして、2人で考えていいものをつくろうとしたんや


「さや、ねえ…」

「なん、やねん」


さや姉は人前で泣かへん。
メンバーが卒業発表した時もみんな泣いてる中、さや姉は1人、笑顔を作ってその場を進行させとった
せやけど、終わったら必ず劇場で1人で残って涙を流してたんや


さや姉となら夢見ていける。

どんなに失敗しても、それを糧にありのままの自分を見せて、未来を信じて突っ走った。

さや姉となら歩いていける。

どんなに長い道のりでも、飾らない自分で、背伸びをしぃひんとあるがままに。

さや姉となら一緒にいける。

どんなことが先に待ち受けとっても、同じように涙を流して、その分強くなれたんや


さや姉のことがよくわかるのは
私とさや姉が似とるからやんな。







「さやか、私、明日卒業発表しようと思ってん。」

「やっぱ、するんか?」

「うん。
私が先をいかんとみんな不安で先に進めんやろ?」

「あんたが決めたことやから、あたしは何も言わへんよ」

「さやか、泣いてるん?」

強がりなさや姉にこんなこと聞いた私は返ってくる言葉を予想した

「花粉症や。
最近すごいねん」

「ふふ、やっぱさや姉のことならなんでもわかる気がするわ」

「自惚れんなや」

「さや姉…」

「山田」

「ん?」

「 」

さや姉にメンバー以上の感情を持った私はさや姉からの言葉はまったく想像出来ひんかったんや。


-END-

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