恋を2
□光の街
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「さやかぁー!」
山田のバイト先の近くの大きな橋の下を流れるいつも穏やかな流れの川。川面が夕日を反射しては、都会のイルミネーションよりもあたたかく、キラキラと光を放っとる。
今ではもう聞きなれた声に名前を呼ばれ、視線を向ければ白いマフラーに口元まで埋めて寒さで鼻が赤くなっと山田が手を振っとった
「おつかれ」
「お疲れー
彩はバイトあらへんかったん?」
「今日は休み。」
「せやったんや
あ、ちょっとコンビニ寄ってもええ?」
「ええよ」
山田がコンビニに行きたかったのは携帯で中華まんのクーポンをGETしたかららしい。
「なんか、自分で買うより美味しく感じる!」
「はぁ?
別に同じやろ」
あんまんを頬張りながら意味わからへんことを言い出す山田につっこむとお得意のふぐ顔になった山田
「そんなこと言うとあげへんよ?」
少しだけ下からあたしを軽く睨んどる山田。
山田と手を繋いどる方じゃない手で山田の腕を掴んで半分しか残ってへんあんまんにかぶりついた
「あま。」
「ちょっ、いるんなら素直にいえばええやんかぁ」
軽く睨んでくる山田の顔に怒りなんかあらへん。
「今度買ったるから怒んなって」
「え、奢ってくれるん?
ならショコラまん食べたいなぁ」
「ショコラまん?」
「新しく出たんやで!
絶対美味しいよなぁ」
考えただけでも甘そうや…
隣で肉まんも食べたいなぁなんて王道を出してくる山田の頭を撫で何個でも買ったるなんていえば嬉しそうに笑った。
「借りてきた映画、夜ご飯食べてから見ような?」
山田が思い出したように言うた。
観たい映画がレンタル開始されたからレンタルビデオ屋に行こうや!なんて学校帰りに当然言い出した山田。
洋画でがっつし恋愛映画を見たいって言うとったけどタイミングがあらへんくて一緒に行けれへんかったもんな
「どうせまた途中で寝るんやろ?」
「寝ーへん!」
毎回そー言いながら寝とるのはどこのどいつや。なんて心の中でつっこみながらキラキラした目で見てくる山田が愛しく思えた
なぁ、山田。
知らへんかもしれへんけどあたしはいつもあんたに救われてん。受験がうまくいかへんかった時、バイトでミスして凹んどる時、あんたがそばにおってくれてよかってん。
そのキラキラした山田の目に、頭上の空や一緒に暮らしてるこの街はどんな風にうつってるんやろーか。
「彩?どしたん?」
柄にも合わへんことを考えとると顔を覗き込んできた山田に口付けをした。
-END-
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