恋を2

□ぼくはサンタクロース
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二人でよく通ったケーキ屋。

甘いの好きやないのに、ここのケーキはたくさん食べた


ここにおれば確実に山田に会える

それくらい山田はこのケーキ屋に来る


服装はあの頃と全くって言っていいほど変わってへんけど、顔があの頃より大人っぽくなったのか全然ちがう雰囲気に見える

あの頃は違和感があった赤いコートに毛糸のニットを着こなしとるのを見ると時の流れを感じるんや


「菜々、ここ入る?」

「んーん、大丈夫」

「そっか
ほないこか」

「うん」


あたしも菜々って呼んどけばよかった
恥ずかしいからって呼ばれへんかったけど、今のやつが呼んどるのを見ると悔しい…


去年の12月末はまだ泣いとったのに


急におらんくなったあたしは最低やったよな。


あたしの上には山田が唯一覚えれたオリオン座。

涙が出てきそうなのを抑えて山田は山田の世界で幸せを描いてなんて声にもならへん声で山田に向かって思ってもへんことをつぶやく


「綺麗やなぁ」

「ほんまや」

「来年も一緒に過ごそーな」

「うん」


祝うように輝いとるイルミネーションの前で立ち止まった2人。


街を通り過ぎるカップルたちは年に一度の聖なる夜にテンションあがっていつもよりイチャイチャしとる


降り出しそうな夜空の下、毎年泣いとった山田の姿をさがした。


あれから山田と別れて随分経つけど、元気でやっとるか
山田は掃除ができひんから部屋が汚くなっとるんじゃないか心配や。


あたしはあんたのこと忘れられへんわ。


クリスマスは雨やなくて雪のが似合っとるやろ?
焦れったいあんたらの距離が縮まるようあたしが幸せそうな山田と山田の彼氏にプレゼントしたるわ。


歩き出した山田はあたしの前を通り過ぎるはずやったのに不意に空を見上げて目が合ったように微笑んだ


あたしは天国でいっつも祈っとるよ
山田が流した涙の数、笑顔が訪れますようにって
真っ白な雪をプレゼントしたるわ
ちょっとだけ寂しいけど、また来年のクリスマスも遠くから山田のこと見守っとるから


あたしのことは忘れて山田は今の幸せだけを抱きしめとけばええねん。


-END-

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