恋を2

□先輩の好きな人
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「ふふ、結局ずぶ濡れになっちゃったな」

「やんな」


いきなりの土砂降りに傘も持ってへんくて隣を歩いとった山田の手を引いて屋根のあるところに走ったのは良かったんやけど…


隣で制服が濡れて透けとるのも気にせず先使い?ってタオルを渡してくる山田。

なんで中に何も着てへんねん


「あーぁ、傘持ってくればよかった」

「天気予報で言うてへんかったし、しゃーないやろ」

「昨日カバンの中整理した時に出してきちゃってん」

「あほやな
はい、ありがとう」


下着が見えとることには触れずに貸してくれたタオルを返した

山田のことは入学してからずっと好きやった。

やけど山田は優子先輩と付き合っとるから…


優子先輩はあたしの先輩なんやけど、山田のこと一目惚れで好きやったらしく、山田も山田で優子先輩が好きで
ついこないだ付き合ったって山田が嬉しそうに報告しにきた


「家に帰ったらすぐ着替えなあかんなぁ」

「なんで優子先輩と一緒に帰らへんの?」

「委員会やから」

「待っとけばよかったやんか」

「小嶋先輩おるから」

「あぁ。」


小嶋先輩は優子先輩の幼馴染でマドンナ的存在の綺麗な先輩

不安なら言えばええやんって何回も言うとるのにええねん。って優子先輩には一切言うてへんらしい


幼馴染ってのが言われへんのんやろーか?

好きな人やったら嬉しいと思うんやけど。


「もうすぐテストやけど大丈夫なん?」

「あかんかも
全く分からへんねん」

「よく入学出来たな笑」

「ほんまそれやで笑
今回もテスト勉強付き合ってな?」

「あたしも今回やばいねん」


優子先輩にみてもらえばええやんか
毎回絶対上位に入っとるし

まぁ、絶対言わへんけど。


「そっかぁ…」

「まぁ付き合ってやってもええけど」

「ほんま!?」


シュンとなった山田に言えばぱぁっと笑顔になった


「教えると頭に入るっていうし」

「ありがとなぁ」


テスト勉強まで復習しとかなあかんな。


「雨、やまへんな…」

「さっきより強くなってへん?」

「やばいなぁ」

「雨やどりしやん方がよかったんかもな」

「あっ…」


いきなりあたしの腕にしがみついてきた山田にどしたん?なんて声をかける前に聞こえた大きな雷の音

雷も鳴りだしたか…


「耳、塞いどけば?」

「う、うんっ」


前に雷がほんまに苦手って言うとったな…

もしかしたら優子先輩は知らへんかもしれへんなんて考えたら嬉しくて根拠もないのに口角があがる


「大丈夫やから」

「うん」


少し低い位置にある山田の頭を抱えて体を密着させた

服が肌に張り付いて気持ち悪かったけど、今は山田の体温が直にわかるから気持ち悪いなんておもわへん


「あ、ちっちー!!」

「優子先輩…」


遠くから傘を持って走ってきた優子先輩。

山田のことを離して目が合ったから指さすと笑って優子先輩を見た山田


「菜々ちゃんも一緒だったんだ!」

「はい
雨やどりしたら帰るタイミングなくなっちゃったんです」

「ずぶ濡れじゃん!
これ、着ていいよ」

「優子さんの匂いや」


優子先輩のカバンから出てきたジャージに腕を通して嬉しそうに笑った山田


「家まで送るよ」

「ありがとうございます
でも、彩が…」

「あたしはええよ
もう少し落ち着いたら走って帰る」

「そっか」

「じゃあちっちまたね」

「はい!」


優子先輩と相合傘して帰っていた山田


「あたしも帰るか」


カバンの底にある折りたたみ傘を引っ張り出して土砂降りの中帰った


-END-

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