恋を2

□ずっと
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「彩、どこ行っとったん?」

「べつに。」

「お風呂は?」

「済ましてきた
先寝る」


違う人の匂いをつけて帰ってきた彩がそのまま寝室まで歩いていった


最近、さやかがおかしいねん

香水の匂いつけて帰ってきたと思ったらそのまま寝るし、家で会話をしてくれへん


「なぁ、あたしと別れて」

「え?」

「あたしの荷物は適当に捨ててくれたらええから」

「ちょ、さやか!?」


彩が浮気しとるのは気付いとった。

別れたくないから言わへんかったのに、彩はいきなり別れを告げてそのまま帰ってこーへんくなった



















「菜々ちゃん」

「ん、寝とった」

「菜々そろそろ帰った方がええんちゃう?」

「まだ帰らへん」


みるきーの家で愛菜と3人でお酒を飲んどったんやけど、いつの間にか寝てしまっとったらしく、みるきーに起こされた

くらくらする頭で2人の声を一生懸命聞く


「誰か呼んだ方がええんやない?」

「彩ちゃんがおればな…」

「あんなやつ知らへん。」


みるきーが出した名前に身体が反応をしてしまった


あんな一方的に別れ言われて納得するわけないのに。
今どこで何してんねん、あほ


「…。」


みるきーと愛菜が目を見合わせてなにか言いたそうにこっちを見てくる

別れて1年経っとるのに、まだ忘れられてへんから名前も聞きたくない。


「菜々、聞いてほしいんやけど」

「…なに」

「菜々ちゃん、落ち着いて聞いてな」

「みるきーも愛菜も顔怖いで」


なんでそんな真剣な顔して見てくるん?

2人の顔で酔いが一気に冷めて、心臓がはやくなりだした


「彩ちゃん、もぉおらへんねん」

「…は?」

「菜々ちゃんと別れてすぐ、死んじゃってん」


さやかが、死んだ…?


「菜々、落ち着いて」

「彩が死んじゃうわけないやん」

「菜々ちゃん」

「愛菜もみるきーも、そーゆー冗談はあかんと思うで」

「冗談やない」

「彩ちゃんに菜々ちゃんには言わんといてって言われてん」

「あんな浮気する人が死ぬわけないやん
違う人の匂いをつけて夜遅くに帰ってきて、キスマークやってたくさん付けとったんやで?
どうせ浮気がバレとったから私から離れたんやろ。」


頭がぐらぐらするのを感じながら一生懸命話したけど、自分でもなにを言うとるか分からへんくなってきた…


「もぉ彩はおらへんねん」

「さやかが!!…おらんくなるわけないやん。」

「菜々ちゃん、どこ行くん?」

「彩の家
みるきーも愛菜もおかしいで」


彩の実家に行けばおばさんにどこにおるか教えてもらえるやろ

みるきーの家から彩の実家までそんなに遠くないし、遅い足で走って家までむかった


『はい』

「やまだ、です…」

『…ななちゃん?
ちょっと待ってな』


インターホンを押すと彩のお姉さんが出てきてくれた


「お久しぶりです」

「久しぶりやな」

「あの、さやかって…」

「やっぱ知らされてなかったんやね」


顔を歪めたお姉さんにみるきーたちが言うとったことがほんまのことなんやって知らされて、一気に胸が苦しくなって呼吸がしにくくなる


「菜々ちゃんに渡すものがあるねん」

「さやか、が…」

「おいで
彩の部屋、変わってへんから」


お姉さんに支えながら彩の部屋に連れていかれた


「好きなだけおっていいよ」

「ありがとうございます」


扉が閉まるとともにその場に崩れた

彩がおらへん…


「うぅっ…」


彩、なんで…。
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