銀魂 小説 下

□夜兎が気に入りし銀の修羅
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銀「よぉ、もう大丈夫なのかよ」
後ろから近付いてきた神威に向かって銀時が言う。
神「なんだ、心配してくれてんだ?」
銀「心配なんざした覚えねーよ、ただお前には生きててもらわねーと、生きていつもみてーに最強に向かって戦っててもらわねーと、また、あいつが悲しむだろ?」
神「…そうだね」
銀時の言葉に神威は少し俯いてそう呟いた。
銀「それにお前、今度は親父、倒すんだろ?」
神「…フッ…そうだよ、倒すんだ」
軽く笑いながら、それでもしっかりと言う。
銀「…もう、あいつのこと泣かせんなよ」
神「…言われなくても」
銀「じゃあ俺はこれで…」
神「待って、一つだけ言わせてよ、あんただけ言い逃げなんて、ずるいだろ?」
言うだけ言って去ろうとする銀時に神威はそう言って止めた。
銀「…なんだよ」
嫌そうにしながらも振り向く銀時に神威は笑みを溢し、言った。
神「…あんたのお陰で、俺も護りたいものを見つけることができた…
ありがとう、感謝してるよ」
銀「…そーか、それはなによりだ」
神「…もう、俺の護りたいものは誰にも傷付けさせない」
銀「…あぁ」
神「…全部、あんたに気付かされた
…これでも、尊敬してんだ、あんたのこと、もっと好きになったよ」
銀「…そうかよ」
神「そうだよ、俺も神楽も、あの親父だって、みんなあんたに救われたんだ、みんなあんたが好きなんだよ」
銀「…こりゃまた随分と物騒な連中に好かれちまったもんだ」
神威の言葉に銀時は笑みをうかべる。
神「何を今更、言っとくけど俺は、最強を手に入れても、親父を倒しても止まらないよ」
銀「は?どういうい…」
神「俺は止まらない、あんたを倒すまで」


銀時の言葉を遮って神威は言う。
銀「…ハッ、お前が俺を倒すって?そんなの簡単だろーがよ」
神威のその言葉に銀時は馬鹿にしたように笑いながら言った。
神「簡単じゃないさ、だって、あんたはそう簡単に倒れないだろ
地球人が普通に戦って夜兎に勝てるわけがないのに、それでもあんたは向かってきた、最後まで、倒れなかった、だから俺は、あんたを倒すまで止まれない
あんたは絶対俺が倒す、他のやつになんか殺させない
…だから、だからさ」
神「だから、死ぬなよ、銀時」
そう言った神威の声色が、表情が、ひどく悲しげで、それでも瞳には強い意志を宿していて、銀時は思わず息を呑んだ。
銀「っ」
神「新選組の沖田にも、高杉にも負けないでよ、まぁあんたはこの俺が認めたんだから大丈夫だとは思うけど、でも、それでも、高杉は強いよ、あんたと同じくらいだ」
銀「…そんなの、俺が一番よく知ってらぁ、それに、あいつとはまだ決着はついてねぇんだ、決着をつけてあいつに分からせるまでは俺は死なねぇよ、あいつにも負ける気はねぇ」
神「そっか、それなら安心だ」
銀「あぁ、じゃあな」
神「…ほんと、つれないなぁ…
でもま、いいよ、また、ね」
銀「おぅ」
去って行く銀時を見ながら、神威は静かに笑みを溢した。

銀「っ
まいったなぁ…俺ァ…大分しねねぇみてぇだ、二人も宣戦布告されちまった」

神「…あぁ」
神「まぁしょうがないさ、あんたと闘いたいんだよ、俺も、高杉も」

銀「…フッ、そうさなぁ、まぁそんときゃあ、二人まとめて返り討ちにしてやるよ」
神「…それでこそ俺が認めた坂田銀時だよ」

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