銀魂 小説 下

□それぞれの愛の形
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side 銀時
新「銀さーん」
銀「んー?」
新「すみません、ちょっと付き合ってもらえますか?」
銀「あ?あぁ、別にいいけど」
新「本当ですか!それじゃあ行きましょう!」グイッ銀「わっ、ちょっ!」
いきなり俺の手を引いて万事屋を出た新八に、なんとか体制を直しついて行った。
登「おや」
た「銀時様、新八様」
キ「ア、」
銀「ゲッ、ババアにたまにキャサリン」
新「こんにちは」
登「なんだい?男二人でどっか行くのかい?」
た「どこにいくのですか?」
キ「オトコフタリナンテハナガナイナ」
新「ちょっと用事で…」
た「そうですか」
銀「そーいうこった、じゃーな」
登「銀時!」
銀「あ?」
登「暑いんだからこれ巻いてきな、新八にも、ほら」
銀「ん」
新「ありがとうござます、お登勢さん!」
首に冷たいもんを巻かれて新八にもと言って渡されたやつを巻いてやった。新八は礼を言ってまた俺の手を引いて歩き出す、俺も引かれながらついてった。

side 新八
沖「あ、旦那ァ」
土「チッ…」
近「よぉ、また真昼間っから暇そうだなぁ」
銀「沖田くんにゴリラじゃーん、てかそこの副長さん、舌打ち聞こえてんですけど、それとゴリラ、別に暇じゃねぇよ、余計なお世話だ」
土「昼間っから嫌な面見ちまったと思ってな」
近「なんだ、本当のことだろ、お、新八君」
沖「よぉ、眼鏡
旦那ァこんなクソマヨほっといて、土方コノヤローを殺す計画たてましょうよ」
新「こんにちは」
銀「お、いいね」
土「いや、よくねぇだろ!」
銀「ったく、朝からうるせぇな、ちったぁ静かにできねぇの?」
沖「そーですぜィ、マヨ方さん」
土「いやもう昼だし!てか総悟てめぇなにちゃっかり万事屋についてんだ!」
銀「うるせぇ、俺にとっちゃあ今も朝なんだよ」
沖「嫌でさァマヨ方さん、俺ァはじめっから旦那側ですぜィ?あんたの方につくなら士道不覚悟で切腹しまさァ」
土「っだあぁぁぁー!っとにてめぇらが組むとろくなことねぇ!」
銀「別に組んだ覚えは…」
新「すみません!僕ら急いでるんで!もう行きますね!」
ほっとくとずっと続きそうな言い合いをそう言って遮って銀さんの手を引く。
銀「え?あ、ちょ…!」
土「はっ、ちょまっ…」
沖「旦那ァ!」
銀「ムグッ!」
いきなり歩き出した僕らに戸惑う土方さんとは違って沖田さんは銀さんを呼んで、振り向いた銀さんの口にチュッパチャップスを突っ込んだ。
沖「暑いでしょう?それあげまさァ、塩レモン味なんでうまいですぜィ、新発売でさァ」
銀「ふぁふぃふぇ!ふぁふぃふぁふぉ!(まじで!ありがと!)」
近「万事屋」
銀「…っうん?」
近「…あんま無理すんなよ、ちっと顔あけぇぞ」
銀「…よく見てんなぁ…
おう、気を付ける、ありがとな」
土「っ…万事屋!」
銀「あ?」パシッ土「それ、やるよ、お前甘いの好きだろ」
銀「…お、おぅ、さんきゅ…てかどーいう風の吹き回し?お前らが俺になんかくれんなんて、珍しくね?明日槍でも降んの?」
沖「旦那が好きそうだったからあげただけでさァ」
土「どうせなら好きなやつにやったほうがいいだろ」
銀「ふーん、ま、ありがとな、もらっとくわ」
土「おう」
沖「はーい」

side 沖田
旦那たちの後ろ姿を眺めながら、隣にいる土方を盗み見る。
…ほんと、俺らって…
沖「素直じゃないですよねィ…」
土「…あぁ」
近「まぁしょうがないだろう、相手があいつじゃあなぁ…」

side 新八
妙「あら?新ちゃんと銀さんじゃないですか」
さ「え?銀さん?銀さんどこ銀さんどこ?銀さあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
銀「うるせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
新「こんにちは、姉上」
銀さんの手をひきながら歩いていると途中で姉上たちに会った。そこにはさっちゃんさんもいて、銀さんを見つけるなり抱き着こうとしたさっちゃんさんを、銀さんは怒鳴りながら躱した。
ちなみにさっちゃんさんはそのまま地面に顔面を打ち付けた。…女で黙ってれば美人だという自覚があるのだろうかこの人は…
月「おぉ銀時、久しぶりじゃの、新八も」
九「久しぶりだな」
銀「ったく…よぉ、妙に月詠、九兵衛」
新「月詠さん、九兵衛さんにさっちゃんさんも、こんにちは」
神「朝ぶりあるな、銀ちゃんに駄眼鏡」
銀「おぉ神楽、なんだお前妙たちといたのか」
新「用事って姉上とだったんだね」
銀「で?このメンツでどっか行くのかよ、随分と珍しいじゃねぇか」
他にも月詠さんや九兵衛さん、神楽ちゃんがいて、意外なメンバーに、銀さんはさも不思議そうにそう聞いた。
妙「あぁ、私たちは今からここ行くんですよ、”スイーツ食べ放題”実は今日、女子5人以上のグループ来店でお会計が半額になるんですよ、それでこのメンバーなんです」
新「なるほど」
銀「ほーお、”スイーツ食べ放題”ねぇ」
それに姉上が親切にも細かく答えてくれて、それを聞いた僕は納得しながらそう呟き、銀さんは少し行きたげにそう呟いた。
月「ん、そういえばこれ、女子が5人以上いれば男子も半額になるんじゃなかったか?」
九「そういえばそうだな、銀時たちも行くか?」
神「そうアルヨ!銀ちゃん甘いの大好きネ!一緒に行こうヨ!」
妙「そうですね、それに銀さんいれば少し値引きもしてくれるだろうし、よかったら行きません?」
さ「え!銀さんも来るの!?なにそれ嬉し…」
行きたそうにしていた銀さんを見て、姉上たちはそう言ってくるが(姉上には少し裏がある)
新「いえ、僕らは用事があるので、ね、銀さ…」
僕は用事があったから断ろうとした、でも…
銀「え、行かねぇの?」
新「ぐっ…」
そう言って、少し悲しそうな顔をする銀さんをみたら断れるはずもなく、最終的に了承して一緒に行くことになった。

妙「さ、つきましたよ」
神「ふおぉぉぉぉぉぉぉ!!!すっごいアル!めっちゃ並んでるネ!うまそうアル!」
月「すごいな…正直甘いのはあまり得意ではないが、これなら食べられそうだ」
銀「…いちごパフェにショートケーキだろ、チョコレートケーキに、チーズケーキ、それからプリンにゼリー…」
…姉上につられて来れば、そこはキラキラと輝いていた。女の人ばっかりで男の人の姿は見当たらない。
場違いなんじゃ…と思い、はしゃぐ神楽ちゃんたちの方を見れば、そこには一緒にショーウィンドウを見ながら目をキラキラさせて何かを言っている銀さんがいた。
銀さんがあまりにも違和感がないから僕も諦めてしょうがなく姉上の隣に並ぶ。
そうしていると僕らの後ろにも列ができて、まわりの人の会話が耳に飛び込んできた。
「見てー、あの人可愛いー!」「あのチャイナの子のお兄さんかな?」「えー、あの金髪のお姉さんの彼氏じゃない?」「それにしても綺麗な人」「つれてこられたのかな?」「甘いの好きなんじゃない?」「なにそれ可愛い!!」「あのグループだけオーラが違うよねー」「あの人と一緒に食べたーい!」
…圧倒的銀さん人気…恐るべし…
まぁ、そりゃそうだよなぁ…あの容姿だし、そもそもあの人モテないとか言ってるけど実際めちゃくちゃモテるし、というかあれでモテない方がおかしいんだって
とうの本人はまだ楽しそうに神楽ちゃんたちと喋ってる、人の気も知らないで。
まぁそんなこんなで無事に順番もきて、たくさん食べて、店を出た、ちなみにお会計は銀さん効果で人がもっとたくさん来てくれたということで銀さんの分はタダにしてくれた。

銀「いやー、うまかった!ありがとな」
妙「こちらこそ、ありがとうございました」
月「楽しかったぞ」
九「また行こう」
さ「銀さーん!私いつでもまっ…」
神「うるさいアル、銀ちゃんたちはこれから用事あるんダロ?だったら私このまま姉御たちと一緒にいるヨ」
銀「おー」
新「ありがとう、神楽ちゃん、じゃあ銀さん行きましょうか」
銀「あぁ」

姉上たちと別れて暫く歩く、その間にも銀さんはいろんな人から声をかけられてて、めんどくさそうに返しながらも満更でもない銀さんに僕は自然と笑みを溢す。

銀「で?結局用事ってなんなんだよ、新八」
新「それは…」
桂「ぎーんとーきー!」
坂「金時ー!」
銀「は?」
向こうから走ってきた人たちを見て固まる銀さん、そうだよな、走ってきたのあの人たちだもんな、しかも高杉さん引きずってるし。
銀「え?は?どういうこと?なんでヅラ?辰馬?しかも、高杉?なんであいつひきずられてんの?」
桂「やぁ銀時!」
坂「久しぶりじゃのぉ、金時!」
銀「俺は金時じゃねぇ…ってそれよりなにそいつ、ていうかなんでお前ら揃いも揃ってこんなところに?」
桂「新八君に頼んだのだ、銀時をここに連れてくるように」
銀「は?新八に?なんで?」
坂「実はのぅ、高杉の奴がおんしと仲直りしたいっちゅーて」
桂「泣きつかれたからしょうがなく、一肌脱ぐことにしたのだ」
高「…別に泣きついてねぇ…」
新「それで、指名手配中の自分が、無闇に町をうろつくわけには行かないからと頼まれたんですよ」
桂「そういうことだ」
坂「それに高杉は過激派だしのぅ」
銀「なるほどな
で?高杉が俺と仲直りしたいって?」
桂「あぁ」
銀「へーえ…
…けどその本人は黙りってか?本当に仲直りした…」
ダンッ
銀「っ」
高「銀時ィ…
紅桜の件は悪かったな、おめェにあんなひでェ怪我おわせちまってよ…
ほんと、悪ィ…」
銀「たかす…」
高「俺ぁな、てめぇが好きなんだ、だから仲直りしてェ…仲違いしたままじゃ嫌なんだよ」
銀「っ」
高「なぁ、銀時、駄目か?」
銀「…そ、れは…」
桂「はい阻止いぃぃぃぃぃぃっ!」
坂「抜け駆け禁止いぃぃぃぃぃぃっ!」
ドガンッ
銀「…は」
桂「高杉貴様あぁぁぁぁぁそんなの聞いてないぞおぉぉぉぉぉ!!」
坂「なーにが 駄目か? じゃ!金時を誑かしおって!」
ガラッ
高「チッ…んだよ…仲直りしようとしただけだろーが…」
桂「貴様には下心がありすぎる!」
坂「あんなもの仲直りとは言わん!」
…あーあぁ、ヒートアップしてきたよ、どうすんだよ、これ。
銀「…ふっ」
そんなことを思いながら隣の銀さんを見ると、銀さんは声は出てないものの目に涙を浮かべてお腹を抱えて笑っていた。
それがひどく幸せそうで、僕もつられて笑う。

side 銀時
馬鹿みたいな言い争いをする三人を見て俺は笑う、隣では新八も笑っていて、それがひどくおかしかった。
銀「あーあ…」
ひとしきり笑ったあと目に浮かんだ涙を拭う。そして目を閉じてそのまま草の上に寝転がった。

銀「こんな日常がずっと続けばいいのにな…」

「銀ちゃん!」
「銀さん!」
「銀時!」
「銀時ィ」
「金時!」
「万事屋」
「旦那!」

銀「なぁ、みんな…」

俺は今、幸せだよ、先生

銀「こんな俺を、好きになってくれて、愛してくれて、ありがとな… 」
 

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