永遠の花〜運命(さだめ)恋歌〜【第一部】

□第十五章 氷の防人
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結局、いくつかの謎を残したまま絵留帯と別れて神座宝の情報集めを開始する翼宿達、


軫宿「そういえば、絵留帯から聞いた話では黒山に神座宝があるとか・・・。」


「何で早う言わんねん?!」突っ込む翼宿に対して「済まなかったな、聞いたのはお前達が樹氷零山に行ってる時だったし、あんな状況では話せなかったしな」そう返す軫宿


翼宿「取り敢えず張宿から貰った照明弾で皆に知らせるで・・・。」


「そうだな・・・。」照明弾を取り出して皆に知らせようとしたその時「軫宿!」名前を呼ばれて呼ばれた方を見ると切羽詰まった様子の井宿と張宿の姿、


軫宿「井宿?張宿?」


翼宿「井宿達やないか!丁度良えところやったで!今、照明弾で・・!」


「軫宿!オイラ達と一緒に来てほしいのだ!」軫宿を見付けると翼宿を無視して話し出す井宿


軫宿「どうしたんだ?」訊ねる


井宿「訳は後で話す!直ぐにオイラ達と一緒に黒山に・・っ・・!!」悪寒が走る。


「ーーー・・・・!!」翼宿、軫宿、張宿の三人にも悪寒が走る。


翼宿「な、何や・・今の感じ・・・。」


張宿「井宿さん・・まさか・・・。」


井宿「・・柳宿に・・何かあったのだ・・・。」


翼宿「な・・何かて・・何やねん・・・。」


「・・・そんな」一点の方角を見て呆然とする鳳明


「鳳明?どないした?」一点の方角を見たまま動かない鳳明に声を掛ける翼宿


「・・柳宿が・・・刺されたって・・・・。」振り返ってそう話す鳳明ーーー・・・・。




ーーーー・・・・。




「ガハッ!・・ッ・・!」尾宿に背中を刺されるも力を振り絞り、一回転して尾宿の背後に回ると尾宿の首に腕を回して尾宿の首をへし折る。


(ボキッ!!)


(トサリ)尾宿が倒れる。


「・・ハァ・・ハァ・・・この柳宿様を舐めんじゃないよ!」尾宿を倒したものの、瀕死の重傷を負った柳宿、


柳宿「・・ドジっちゃったわね、これからは美朱の事バカに出来ないわ・・・。」


「・・・岩・・退け・・なくちゃ・・・・。」洞窟の扉を塞いでいる大岩を退けようと立ち上がり、一歩、また一歩と歩き出す。


朦朧とした意識の中で大岩に近付いて行く途中、誰かに抱き止められてそちらに視線を移す。


柳宿「・・・あんた」


妃時は柳宿を抱き止めてそっと言葉を落とす。


妃時「柳宿さん、貴方の誇りはお護りさせて頂きました・・ここからは私の自由ですよね?」



(シャン・・!)



錫杖の音が鳴り響き、軫宿を連れた井宿が現れる。


井宿「軫宿を連れて来たのだ!」


その光景を眼にした柳宿は「・・好きにして頂戴」微笑して小さく呟く


妃時「ありがとうございます・・・軫宿さん、柳宿さんをお願いします。」


軫宿「これは!・・妃時!それ以上柳宿を動かすな!井宿!翼宿!手伝ってくれ!」


翼宿「おう!」


井宿「判ったのだ!」


井宿と翼宿、二人がかりで柳宿をゆっくりと寝かせた後、神水を柳宿に掛けてから治癒術で傷の手当てをする軫宿。


軫宿「どうしてこんな無茶を・・もう少し遅かったら危なかったぞ!」


治癒術を掛けながら「良いの、あたしにだって護りたいものがあるのよ・・そうよねえ妃時」軫宿にそう話すと妃時を見て微笑む柳宿


妃時「(柳宿さん・・・。)」


「妃時」名前を呼ばれて返事をして呼ばれた方を見ると「・・妃時、君は一体何をしていたのだ?」静かに訊ねて来る井宿、


「それは・・・。」目を伏せる妃時


返答に困っていると「妃時なら今来たばかりだったわよ、あたしがあの大岩をどけようとしたら妃時に止められたのよ」井宿にそう話して妃時を見てウィンクする柳宿


「・・(柳宿さん)」みんなの疑惑の芽を自分から遠ざけ様とする柳宿を見て黒山の麓で言っていた柳宿の言葉を思い出す妃時



『(ねえ妃時・・、あたしはあんた達の事も大好きなのよ、だからお願い、あたしに守らせて頂戴・・、大好きなみんなを・・・。)』


「・・(柳宿さん)・・・・。」柳宿の優しさに泣きたい気持ちになる妃時


「あの大岩を・・そうだったのだ?」柳宿の話を聞いて大岩に視線を移して大岩を見て話す井宿


「こんな状態であの大岩を退けようとするて無理やで?死んでもうたらどないすんねん」大岩の側まで来て呆れながら話す翼宿


翼宿「・・って、鳳明?」


鳳明を見ると「・・良かった・・柳宿死んじゃうって・・思っ・・・。」涙を拭いながら話す鳳明


そんな鳳明を見て「・・せやな」鳳明の肩に手を回して抱き寄せて鳳明の頭を優しく撫でる翼宿


「・・全く、お前も人の事は言えないぞ?」柳宿を見て呟く軫宿、そんな軫宿に対して「フフ・・そう・・・ね・・・。」微笑して小さく呟く柳宿ーーー・・・。



ーーーー・・・・。




軫宿の治療が終わり、美朱達も来た頃、扉を塞いでいた大岩を柳宿に退かして貰い、黒山の洞窟の扉を開けて中に入って奥へと進むと開いていた扉が勝手に閉まる。


真っ暗で何も見えなくなって何かに躓いて転んでしまい、鉄扇で火を焚いて周りを明るくする翼宿


翼宿のお蔭で周りが明るくなり、足元を良く見ると無数のガイコツが散らばってる。


美朱「ぎゃーーー!!骨!骨!骨!」


翼宿「・・見たら判るわ」


柳宿「何なのよここは・・・。」


みんなが驚く中、急に数本の氷の矢がこっち向かって飛んでくる。


「危ない!」武器で氷の矢を弾き落とす鳳明と妃時


(ガキン・・!)


「・・(氷の矢?)」弾き落とした氷の矢を見て樹氷零山で見た氷の刃を思い出す鳳明。

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