永遠の花〜運命(さだめ)恋歌〜【第一部】

□第二章 波紋
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太一君に挨拶を済ませた三人は昨日、朱雀の巫女が狙われた林へと向かう―――‥‥。


井宿「ここで朱雀の巫女が狙われていたからオイラが助けたのだ!」


鳳明「まだそんなに遠くへは行ってないと思うよ?ここから一番近い村まで行ってみよう?」


井宿「ここからなら白江村が一番近いのだ!‥ん、妃時?」


妃時を見るとどこか遠くを見つめる妃時の姿


妃時「‥‥‥‥‥‥。」


「妃時?どうし‥‥っ‥!」声を掛けようとしたその時、只ならぬ気配を感じ取る。


鳳明「井宿!朱雀の巫女が襲われてる!」


井宿「向こうは確か‥‥。」邪気のする方角を見る


妃時「白江村です。倶東国の兵士が村人の振りをしていたみたいです、早く行かなければ今回は危険です!」


井宿「すぐに行くのだ!」そう言って移動術を唱える



時、同じくして白江村の民家では‥‥。


倶東国の刺客が朱雀の巫女を殺す為、村人を人質に取っていた。


刺客「この者を助けたくば‥朱雀の巫女!大人しくお前が殺されろ!」


「さあ、こっちへ来い!」人質の首を締め上げて長剣を構える。


「‥う!巫女‥様‥。」


美朱「‥‥‥‥‥。」


苦しそうにしている人質を見て、何も言わず刺客の側に行く美朱


「よせ!やめろ美朱!」


仲間の制止も聞かず、刺客の側へ来たその時、美朱が身に付けていた笠から両腕が出てくる。


その両腕はすぐに印を結び、軽い衝撃波を刺客へと放つ


刺客「‥ぐ!」


人質が解放されると、すぐ助けに入る精霊達


落ちた笠から井宿が姿を現す。


美朱「貴方‥!あの時のキツネさん!」井宿を見る


刺客「くそ‥!」井宿めがけて数本のナイフを投げる


井宿は飛んできたナイフを錫杖で弾き落とすが、その中の一本のナイフが流れて右側のズボンの裾を破く


そこから見えたのは‥‥。


美朱「あれは‥!(右膝に字?!)」


美朱は破れたズボンの右膝から"井"の朱文字がくっきりと浮き出ている事に気が付く


美朱「‥(朱雀七星士‥!)」


刺客「く‥!」


柳宿「おっと‥!逃がさないわよ」


「美朱を狙って何人この国に入り込んでいるの?‥いいな!」逃げようとした刺客を捕まえ、締め上げて尋問する


刺客「‥ぐ!‥今に見ていろ‥青龍の巫女が見つかりさえすれば‥こんな国‥!」


美朱「青龍の巫女?!どう言う事?!ねぇ、答えてよ!」


刺客の側まで来た瞬間、無数の矢やナイフが美朱と刺客めがけて飛んで来る


「危ない!」気配を察した鬼宿と井宿は美朱を庇う


精霊達は武器でナイフと矢を弾き落として、美朱と七星士達を護る


「あんた達!あたしを庇う気ないの?!」井宿と鬼宿に突っ込む柳宿


美朱「‥し、死んでる‥‥?」息絶えた刺客を見る


妃時「‥‥‥‥‥‥。」


口封じの為に殺された刺客を見て震えている美朱に気付いた妃時は美朱の側に来てそっと抱きしめると優しく言葉を落とす。


妃時「一日でも早く、争いの無い平和な世界が来ると良いですね。」


鳳明も美朱の側に来て「きっと来るよ、貴女が居るから!」美朱の頭を撫でる。


井宿「(妃時‥。鳳明‥。)」美朱を励ます精霊達を見て微笑む



人質を助けてほとぼりが冷めた頃―――‥‥。


美朱「‥さっきは助けてくれてありがとう!」井宿達にお礼を言う


鬼宿「お前達か?美朱が狙われてるって言ったのは‥。」


「‥それよりお前、人間か?」警戒しながら井宿を見る


井宿「失礼なのだ!オイラは人間なのだ!」抗議する


鳳明、妃時「‥(クスクス)‥‥。」井宿の後ろで必死に笑いを堪える


美朱「待って鬼宿、朱雀七星士だよ!この人!」鬼宿から井宿に視線を移す。


鬼宿「え‥。」


「ホラ!右膝に字がある!」字を見るように促す美朱


右膝を見る鬼宿と柳宿


柳宿「なんだ、あんた朱雀七星士だったの?!」


井宿「オイラ井宿というのだ!流浪の旅人なのだ!」


美朱「私は美朱だよ、夕城美朱!よろしくね!‥‥それで‥その子達は?」井宿の後ろに居る精霊達に視線を移す


井宿「この子達は精霊なのだ!」


美朱「精霊‥?」呟く


井宿は太一君から言われた事を美朱達に話す。


井宿「――‥‥という事なのだ!鳳明も妃時もとても頼りになる。オイラが保証するのだ!お願いなのだ!オイラ、この二人を連れて行きたいのだ!」


そう言って願い出ると「どうする?みんな」柳宿と鬼宿に相談する美朱


鬼宿「オレは別に構わないぜ!‥格好良かったぜ、さっきの!」精霊達を見る

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