永遠の花〜運命(さだめ)恋歌〜【第一部】

□第八章 絶望の淵
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気絶した鬼宿を部屋に運んで寝台に寝かせた後、謁見の間で星宿や皆に倶東国で起きた事を話す。


星宿「倶東国で一体何が合ったと言うのだ?」


井宿「陛下、鬼宿は・・。」これまでの経緯を星宿に話す。


井宿から話しを聞いた星宿は信じられないといった様子で頭を抱える。


そんな星宿に対して井宿の隣で静かに話を聞いていた診宿が立ち上がり星宿に話し出す。


診宿「陛下、鬼宿は多分轟毒を呑まされたのだと思います。中枢神経を刺激し、一時的に感情を麻痺させる呪術、それは自分にも治せません。」


星宿「なんて事だ・・・。」考え込む



鳳明、妃時「・・・・・・・・。」


診宿の話を聞いた精霊達はそっと謁見の間を後にして、もう一度鬼宿の様子を見に行く


鬼宿の部屋の前まで来ると部屋の中から誰かの気配がしてそっと扉を開けて部屋の中を見ると鬼宿の寝台の側には美朱の姿が・・・。


美朱「・・・鬼宿。」


辛そうな表情で眠っている鬼宿を見る美朱、そんな美朱の様子を見た精霊達はそっと扉を閉めて静かに鬼宿の部屋を後にする。


(パタン・・・。)


「まだ眼を覚まさないね・・鬼宿」回路の手摺に座って小さく呟く鳳明


妃時「そうですね、ですが例え眼を覚ましても今の鬼宿さんは・・・。」中庭を見ながら辛そうに呟く


「どうしてこんな事になっちゃったのかな、鬼宿・・。」俯く鳳明


鳳明「ねえ妃時、寂しいのかな?唯ちゃん・・・。」妃時を見る。


妃時「鳳明?」


鳳明「だって、良く考えたら唯ちゃんから見たら美朱が何処かに行っちゃいそうで・・・。」


「う〜ん、言葉が見付からない・・、ご免!変な事言って」そう言ってこちらを見て苦笑いをする鳳明に対して「・・・いいえ、私もそう思います。」静かに返して曇り空を見上げて思う妃時


妃時「・・(唯さん、もう少しではぐれてしまった貴女を見守る人が現れます、どうかそれまで・・。)』


二人は只願うばかりだった、いつか美朱と唯ちゃんが仲直り出来る様に・・・。


美朱の事を一番判っているのは唯ちゃん、唯ちゃんの事を一番判っているのは美朱、そう思うから・・・。


そう信じていたいから・・・・。


妃時は鳳明の頭に巻かれた包帯を見て「取り敢えず部屋に戻って休みませんか?」そう言って怪我の治療を受けた鳳明を気遣う。



「‥うん」気の無い返事を返して部屋へ戻ろうとした所「君達、良いのだ?」呼び止められて呼ばれた方を見ると井宿の姿が


井宿「君達と話したい事があるのだが・・良いのだ?」


話の内容に察しが付いた精霊達は・・・。


「妃時〜・・。」苦笑いを浮かべながら妃時見て呟く鳳明に対して「・・・仕方がありません」静かに呟く妃時


井宿に連れられて井宿の部屋へと向かう精霊達、


その光景を少し離れた所で静かに様子を見守っていた人物が一人、


翼宿「・・・・・・・。」鳳明の頭に巻かれた包帯を見る。


鳳明の姿が見えなくなるまで見送ると静かに踵を返して角を曲がる。


曲がった所で待っていたのは壁に背を預ける様にして寄り掛かっている柳宿の姿、


特に会話もせずに通り過ぎると「・・良いの?」静かに語り掛けてくる柳宿、


「・・何がや」立ち止まって振り返って訊ねると少しの間の後「・・何でもないわ」そう言って翼宿とは反対方向に踵を返して立ち去る。


「何やねんアイツは〜・・!」柳宿の言葉の意味が判らず、柳宿が立ち去った方を見て独り言を呟く翼宿



ーーーー・・・・。



井宿の部屋に入ると椅子に座るよう促されて椅子に座り、小声で話し出す精霊達、


鳳明「・・(妃時〜!どうしよう井宿に嫌われたよね?!絶対!どうしよう〜!)」


妃時「・・(大丈夫です、そこまで狭く無いと思います。多分、もう目を合わせて頂けないだけで・・・。)」


鳳明「・・(駄目だよ!それって嫌われたって事だよね?!どうしよう〜!)」涙ぐむ


「・・(大丈夫です、多分)」そう言って泣きそうになっている鳳明の頭を撫でる妃時。


井宿が正面に座ってきた事に気付いた二人は改めて座り直す。


精霊達が座り直すと井宿は今までの事を纏めて話す。


鬼宿が轟毒を呑まされた事、診宿でも治す事は出来ない事を話して今後についてを話す。


鳳明「やっぱり、鬼宿はずっと・・・。」


井宿「・・・このままなのだ。」


妃時「ですが呪術なら"術"である事に変わりは無いと思います、鬼宿さんが目を覚ます可能性は有ります。」


「どうすれば目を覚ますの?」訊ねて来る鳳明に対して「判りません、せめて轟毒を作った呪術師が解ればその人から話を聞けたかも知れませんが・・。」静かに返答す妃時。


井宿「どこに居るかも判らないのだ。」


「やはり敢えて心宿さんに捕まって話を・・・。」とんでもない事を言い出す妃時に対して「な、それは駄目なのだ!」止める井宿

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