永遠の花〜運命(さだめ)恋歌〜【第一部】

□第九章 朱雀召喚の儀
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鬼宿が元に戻って朱雀七星士が揃い、朱雀召還の準備が目前となる。


美朱の提案でみんなで朝食を取る事になり、皆が食堂に集まって来る。


そんな中、いち早く異変に気付いたのはーーー・・・・。


柳宿「おっかしいわねー・・。」


鬼宿「どうした?柳宿」


柳宿「ほら見てこの水晶玉、七星士を捜す為に太一君から貰ったやつが光ってるのよね」鬼宿に見せる。


鬼宿「何でだよ、七星士はみんな集まったんだぜ?壊れてんじゃねえのか?」水晶玉を覗き込むとそこには"知"の朱文字がくっきりと現れている。


柳宿「そうよね、気にすることないわよね、行きましょう」水晶玉を塀の上に置いて食堂に入って行く


二人の会話を少し離れた場所で聞いていた精霊達が話し出す。


鳳明「もうそろそろか・・本当に何もしてこなかったね。」


妃時「彼は朱雀召還までは何もして来ません、それが救いです。」


鳳明「そうだよね、笛の音で皆の気を弱めていたけどこれ位なら朱雀廟に入れば大丈夫だし、妃時の言った通り悪い人じゃ無さそう。」


妃時「多分・・、もしかしたらあの人にも護りたいものがあるのかもしれません」そう言って仰ぎ見た空に浮かぶのはあの人とよく似たシルエット


鳳明「妃時・・・。」妃時を見て小さく呟く


妃時には何が見えているのか
鳳明には判らない、判らないけれど・・・。


「ねえ妃時、信じて貰えるかは判らないけれど話してみよう、あの人を助けたいんでしょう?」


妃時「鳳明・・・。」



ーーーー・・・・・。



みんなの食事が済んだ頃合いを見計らって星宿の部屋へ訪れる精霊達、


意を決して扉をノックすると中から「入れ」そう聞こえて扉を開けると部屋の中に居たのは部屋の主、星宿と先客の井宿、


井宿は仮面を外していて、真剣な面持ちをしていた。


井宿「妃時、鳳明。」


鳳明「あれ?井宿も星宿に用事?・・どうしよう、出直そうか?」妃時を見て訊ねる。


妃時「・・そうですね」


謝罪をして踵を返そうとしたその時「待ってほしいのだ、君達にも聞いて欲しい」呼び止められる。


鳳明、妃時「・・・・・・。」


井宿に呼び止められて部屋に入り、井宿の話しを聞く精霊達、


話しの内容は倶東国で張られていた結界が強力で心宿一人の力では無いという事、


星宿「まさか・・!」


井宿「はい、恐らく既に青龍七星士は集まっているのでは無いかと思います。」


星宿「なんと言う事だ・・・。」


朱雀召喚の儀式の際の倶東国からの妨害を警戒した井宿は・・・、


「念の為、朱雀召喚の儀式の時までオイラが気を張って置きます、出来れば君達にも協力して欲しい」星宿にそう話して精霊達に視線を移して訊ねる。


鳳明、妃時「判った(判りました)」それぞれ返事を返す二人


井宿「ありがとう・・ん、そういえば君達も星宿様に用があったのだ?」訊ねる


思い出した様に訊ねて来る井宿に対して言いにくそうに話し出す精霊達、


鳳明「うん・・、朱雀召喚の事何だけど・・・。」


「何だ?申してみろ」訊ねて来る星宿に水晶玉を見せる。


星宿「これは?どういう事だ?」水晶玉を覗き込んむ


鳳明「この水晶玉、文字が出ているでしょう?つまり、朱雀七星士はまだ集まって無いって事」


星宿は少し考えて「まさか・・!」精霊達に視線を移す。


妃時「はい、このまま朱雀召喚の儀式を行い、四神天地書を炎の中に入れれば儀式は失敗、朱雀を呼び出す事は出来なくなります。」


井宿「何故、今まで・・。」


星宿「黙っていたのだ・・。」


妃時「申し訳有りません、黙っていた事は謝ります。ですが彼は受け入れなければならなかったんです。」


星宿「受け入れなければならなかった?・・もう少し詳しい話を聞かせてはくれぬか?」


妃時「はい、鬼宿さんと四神天地書が倶東国にある以上、両方の安全を優先させました。」


「彼の狙いは四神天地書だと判っていました、朱雀召喚までは何もして来ない事も判っていましたから」


星宿「・・・・・・・。」


鳳明「それに、本物の朱雀七星士の命も倶東国が・・。」


星宿「握っている・・ということか!」


鳳明「そう、だから敢えて向こうの策略に乗る必要があったんだよ」


星宿「それならば朱雀召喚の儀式を執り行うのは避けるべきではないか?」


鳳明「星宿、できれば朱雀召喚の儀式をして欲しいの、美朱には四神天地書を投げ入れるフリでもして貰って」


星宿「・・何故だ?」


妃時「彼は恐らく、四神天地書が燃えて無くなるまで動きません、四神天地書が燃えて朱雀が呼び出せない、そう思わせて置きたいんです。」


星宿「そうすれば囚えられているとはいえ本物の張宿は助かる・・・そういうことか?」


妃時「はい、それに彼は何もしていません、倶東国へは戻らず他国へ亡命して頂ければ殺される心配も有りません」


星宿「・・殺される?」
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