第二章

□19.木の芽風
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カブトは 裕巳を部屋へと運ぶとそっと静かにベッドへ寝かせた




「君は凄いよ…あの大蛇丸様が…。」




大蛇丸が 裕巳に向けた視線を思い出す





それは自分に向けるものでも、使い捨ての駒を見るものでもなかった
 裕巳を慈しんでいるような、彼女という存在を視ている瞳だった




暫く安らかに眠る 裕巳を見つめるカブト





「……君にも疲労回復の薬を作った方が良さそうだな。」




よいしょ、と立ち上がりカブトは薬を作るべく調合部屋へと向かった









部屋に向かう途中、てっきり自室に居ると思われた大蛇丸がカブトの前に姿を現した





「大蛇丸様?」




「カブト、ちょっと呼んでおいて欲しい奴がいてね…。」




壁に寄りかかるように言う大蛇丸は立つことも苦しそうだ




カブトはニヤリと笑い、眼鏡を上げた





「毒芽 漆の事ですか?」




カブトの返答に大蛇丸は喉の奥で笑う




「流石…仕事が早いわね…。」




「昨日のうちに連絡を飛ばしておきましたからね、早ければ昼頃には着くでしょう。」




「そう…なら、来次第通して頂戴…私は部屋に居るから…。」





「分かりました、僕は 裕巳の疲労回復の薬を作っていますから、何かあれば仰って下さい。」




「そう…頼むわね……。」




「……! はい…。」





どうも昨日から二人の様子が違うな、と感じるが聞くことはしない





(何かあったな…。)





大蛇丸の後ろ姿を見ながらカブトは思う





カツカツカツ…、と足音が遠くなるとカブトは再び足を動かした





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