第二章

□21.雨との接触
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ガサッ、と草むらから音がすると裕巳目掛けてクナイが数本飛んできた




ザッ!




裕巳はその気配を分かっていたように地面を蹴る




「誰?」



裕巳の燐光は月明かりを帯び、鋭く光る




腰の剣を抜いて構えるその姿を見た人物は草蔭から姿を現す





「その美しき一振りの剣…間違いない、漸くみつけた…。」




月明かりの下に姿を晒した人物に裕巳は目を見開いて驚く





「…貴方は…!?」




「久しいな、裕巳。」




その男は笠を被り、マントで身を被っていた為顔は見えないが裕巳には声で何者か分かった




裕巳の警戒が強まる




「何故貴方がこんなところに…何をしに…?」




「何をしに…か。お前こそ、こんなところで一体何をしている?」




「……私は…別に、此処にいてもおかしくはないでしょ?
此処は私の里なんだから…。」






男の口元はニヤリと笑う





「そうか、確かにそうだな。お前は我々の元を去り、この村に移り変わったのだからな…。」




「……………。」




「俺が疑問に思っているのは…何故滝隠れの襲撃があったこの村に、お前だけが生き残っているということなんだがな…。」




「…! 何故…その事を…!?」




「あれから幾日経っていると思うておる?
村は荒れ、我が里の者も滝隠れの者、多くの死傷者が出たことは調べた上がっている。
何故両者が死に、争いも静まったのかははっきり分かっていなかったがな…。」





「………。」




冷や汗を流す裕巳




「そして、お前も居なくなっていた。最初は争いに巻き込まれ、死亡したと思ったが…。
お前が早々死ぬ筈がないと思ってな、何せお前はーーー。」





「………。」





「水宝玉を持つ唯一の存在なのだからな…。」





「だから…何? そんな事…今更…。」





「お前はこの村を護ると良い、我々の元を去ったな?」





「…………。」




裕巳は下唇を噛む




「我々の元に戻って来い。」




「…嫌だ。」




裕巳は小さく呟く




「この村は壊滅した、こんなところで生きていけるとは思えないが?」




「……貴方には関係ない。」




視線を逸らす裕巳に男は近付いて行く




「俺はお前に戻って欲しいとお願いしている訳じゃない。」




「…………。」




「命令しているんだ。」





「ーーーー!」




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