第二章
□23.止まぬ雨
3ページ/8ページ
カブトは目の前の笑顔を見ると胸が痛んだ
「…裕巳、無理はしなくて良い。
君が話したくないと言うなら話さなくて良い、だからそんな顔で『大丈夫』なんて嘘を吐かないでくれ…。」
カブトは一度離れた裕巳の身体を引き寄せ、抱き締めた
「……!」
裕巳は目を見開く
(もしかして…消した毒芽の記憶が甦ったのか…?)
カブトは頭を撫でるフリをして裕巳の記憶を覗き込む
裕巳の中で今、一番強い記憶がカブトの脳内に映し出された
「ーーーーー‼!?」
赤 真っ赤な鮮血
『どうして…私は…里の為に……。』
血の海に倒れる女性
その女性を見るは白い刀身を真っ赤に咲かせた少女が一人
「……カ……ブトさん……!?」
カブトが我に返ったのは裕巳の苦しそうな声が聞いた時だった
気がつけばカブトは裕巳の首を掴み、吊り上げるような形をとっていた
「ーーーー‼」
カブトは即座に裕巳を開放する
地に足がついた裕巳は『ゴホッ、ゴホッ。』と咳を繰り返す
視えてしまった 今の裕巳の心が
感じてしまった 過去の自分自身の感情を
「すまない…。」
カブトは小さく謝るとその部屋から出ていく
「カブトさん…?」
その真実は裕巳が雨隠れの上層部に仕えていた時まで遡る…
.